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内容説明
合戦、自決、処刑による亡骸を埋葬したと伝えられている戦死塚。ときに死者の霊力を崇敬し、ときに怪異や怨霊の源として畏怖する塚伝承には、「敗者」の声なき声を記憶にとどめようとする日本人の心意が刻みこまれている。各地に残る平将門の首塚と胴塚。元寇、戦国の合戦、幕末維新の無数の死者たちの千人塚。敵と味方の死を冷酷に峻別した戊辰戦争──。大幅増補によって全国1686例の戦死塚一覧、現地写真125点を収録した決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CTC
12
1月の角川ソフィア文庫新刊。単行本は15年、洋泉社(未來社出身の藤森建ニ氏により85年設立、98年宝島社の子会社となり、20年2月に解散)刊。国内の首塚や千人塚など1,688例を収録したもの。著名なものは事歴を詳細に考察し、巻末に全国のリストが付くが…まぁ地縁のある場所についてもそんなところに塚なんてあったけな、というほど圧巻の量である。著者は柳田國男研究などの著書がある民俗学者。大化の改新から西南戦争までを対象にしているが、後者だって145年経っていて様々な伝承があるのだ、事歴を理知的に考察する良書だ。2022/05/15
Fumitaka
5
日本において「敗者の側を顕彰しない」という風潮はやはり戊辰戦争から始まっている(p. 292)というのがまあ面白いところですね。外来の敗者を地元民が供養して来たというのは、奇しくもこの著作全体における、「行政と地域社会(民衆)は異なる」という前提を改めて強調している様に思える。こじつけながら、「敗者は悪」と示して新政府の正当性を強調したのは、やはり「明治維新」の一連の事件が「革命」であって、ロシア内戦とかと「同じ」であったということであろう。「勝者のみの歴史は、常に偏頗的で他者に冷たい」(p. 319)。2022/05/29
えびちり
4
正直まだ完読はしてない。半分ちょい。気分的にこれは少しずつ敗者たちの記録とその向き合い方を確認していきたい感覚。歴史の中で名前だけ知っている人、知らない大勢の人たちの痕跡。いろいろな伝承も残っているけれど、その真贋は作者さんはこの際置くものとしているのが割と好感。蘇我入鹿の首塚は小学生の時に遠足でいったなあ。これ、最後の首塚胴塚千人塚の一覧が見事。すごい。2024/04/22
onepei
4
内容も巻末リストも貴重。 2022/03/26
midnightbluesky
1
大変に良い。2022/03/10