内容説明
巧緻に組みあげられた経糸と緯糸のなかで、
子供たちは日常と非日常を行き来する。
―― 作家 竹本健治
「家族」をめぐるしたたかな「十歳」たちの犯罪
を描く、著者渾身のノワール短篇集!
十歳って、大人が思うよりも大人だ。
正宗が通う小学校で開催される、十歳を記念して家族へ感謝を伝える「二分の一成人式」。破綻した片親家庭に育つ正宗には偽善としか思えなかった。だが、正宗は知っていた。殺人事件が起きて式典が中止になることを ――(「半分オトナ」)
子が親を、親が子を愛するのは「当たり前」ですか? 家族を巡るしたたかな十歳たちの犯罪の物語。「親ガチャ」なんて言葉の流行る時代へ気鋭が贈る、キッズ・ノワール短篇集。
目次
・口紅
・初恋探し
・ドミノ倒しホワイダニット
・少女探偵の習い事
・逆ABCバーガーの謎 ヒール編/クラウン編
・黒いすずらん
・愛しの我が子
・頂上まで七分間
・半分オトナ
・解説=諸岡卓真
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
47
色んな10歳が絡みあらゆる意味で「活躍」する短編集。頭はカラットしません(そう言う意味で名付けたんじゃないだろ!)。真梨さんと別な意味でブラックな「初恋探し」殺人が起きた時から時系列を逆に遡る「ドミノ崩しホワイダニット」(時系列順に読み返したくなる)わりと明るめな、クリスティー作品をモチーフにしたハンバーガー屋で起こる「逆ABCバーガーの謎」(千澤さん、作ったことある?)。厳しい祖母と囲碁を巡る「黒いすずらん」。やるせない10歳「半分オトナ」がおすすめ。しかしオリエントバーガー美味しそう。2023/10/16
のりすけ
19
短編集。連作のようなそこまで繋がりはないような。どれも10才をテーマにしたもの。「愛しの我が子」が面白かったが全体的にもう少し外連味があってもいいかも。オチが分っちゃうよ、オチが!なのも多かったかなー。2022/06/07
leo
10
あえてそういう雰囲気を出しているのかもしれないが、発話者が誰なのか途中で見失なうことが多かった…内容としては適度にダークな感じで好み。最近の10歳って本当にこんなに大人びてるの?2023/09/03
コチ吉
9
例えは当たらないかもしれないが、丁寧に下処理し、さらっとした味付けで供される前菜料理のような趣き。不連続と称しているが、淡い繋がりらしきものも見え隠れしている。2022/06/19
ふぃえ
3
久しぶりに、図書館新刊コーナーでジャケ借りしてみました。10歳に絡む短編集です。読みやすいんだけど、いまいちインパクトに欠けるような。最後の『半分オトナ』は面白かったです。出版社の行舟文化というところは、初めてでした。2022/08/07