岩波新書<br> ジョブ型雇用社会とは何か - 正社員体制の矛盾と転機

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岩波新書
ジョブ型雇用社会とは何か - 正社員体制の矛盾と転機

  • 著者名:濱口桂一郎
  • 価格 ¥1,122(本体¥1,020)
  • 岩波書店(2022/01発売)
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  • ISBN:9784004318941

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内容説明

前著『新しい労働社会』から12年.同書が提示した「ジョブ型」という概念は広く使われるに至ったが,今や似ても似つかぬジョブ型論がはびこっている.ジョブ型とは何であるかを基礎の基礎から解説した上で,ジョブ型とメンバーシップ型の対比を用いて日本の労働問題の各論を考察.隠された真実を明らかにして,この分析枠組の切れ味を示す.

目次

はじめに┴序章 間違いだらけのジョブ型論┴1 氾濫するおかしなジョブ型論┴2 ジョブ型の毀誉褒貶┴3 メンバーシップ型の矛盾┴第1章 ジョブ型とメンバーシップ型の基礎の基礎┴1 ジョブ型契約とメンバーシップ型契約┴2 入口と出口とその間┴3 賃金制度と「能力」┴4 対照的な労使関係┴5 非正規労働者と中小企業労働者┴6 法律と判例の複雑な関係┴第2章 入口と出口┴一 入口 就職と採用┴1 採用の自由と採用差別禁止┴2 試用期間の意味┴3 学歴詐称の意味┴4 入口の年齢差別禁止法┴5 周縁地帯の中途採用┴二 入口以前の世界┴1 教育と職業の密接な無関係┴2 日本型雇用の収縮に取り残される教育┴3 アカデミズムの幻想と職業訓練の世界┴4 学び直しというけれど┴5 学習のフォーマルとインフォーマル┴三 定年と高齢者雇用の矛盾┴1 定年退職は引退に非ず┴2 根っこにある中高年問題┴3 矛盾に矛盾を重ねる高齢者雇用対策┴四 解雇をめぐる誤解┴1 ジョブ型社会で最も正当な整理解雇┴2 誤解だらけの「能力」不足解雇┴3 現実社会の解雇の姿┴4 移る権利・移らない権利┴第3章 賃金 ヒトの値段,ジョブの値段┴一 生活給を「能力」で説明した年功賃金の矛盾┴1 職務評価による固定価格がジョブ型賃金┴2 生活給から「能力」主義への曲がりくねった道┴3 下がらない「能力」の矛盾とご都合主義の成果主義┴二 日本版同一労働同一賃金という虚構┴1 非正規労働者の均等・均衡処遇政策┴2 同一労働同一賃金という看板を掲げた政策過程の裏側┴三 家族手当と児童手当の間┴1 家族手当の展開┴2 児童手当の曲がりくねった細道┴3 矛盾に満ちた家族手当┴第4章 労働時間 残業代と心身の健康のはざま┴一 残業代とエグゼンプションの迷宮┴1 労働時間とは残業代と見つけたり┴2 適用除外制度をめぐるねじれた経緯┴3 月給制と時給制の一体化┴4 管理職は職種か処遇か┴二 本当のワーク・ライフ・バランス┴1 夫と妻のワークライフ分業┴2 迷走するワーク・ライフ・バランス┴3 転勤という踏み絵┴三 過労死防止のパラドックス┴1 残業規制の源流は過労死裁判┴2 健康とプライバシーのはざま┴四 メンタルヘルスの迷宮┴1 メンタルヘルスのパターナリズムとプライバシー┴2 メンバーシップ型はパワハラの培養土┴第5章 メンバーシップの周縁地帯┴一 女性活躍というけれど┴1 女子は若いのに限る 花嫁候補のOLモデル┴2 ジョブの平等,コースの平等┴3 ジョブなき社会の女性活躍┴二 障害者という別枠┴1 メンバーシップ型になじまない障害者雇用┴2 発達障害と躁鬱気質のパラドックス┴三 ローエンド外国人 サイドドアからフロントドアへ┴1 サイドドア型外国人労働者導入政策┴2 サイドドアからフロントドアへ┴四 ハイエンド外国人の虚実┴1 ジョブ型「技人国」在留資格とメンバーシップ型正社員の矛盾┴2 専門職はどこまで高度か┴第6章 社員組合のパラドックス┴一 企業別組合 労働組合だけど従業員代表┴1 ジョブ型社会の労働組合と従業員代表┴2 事業一家の覇者交替┴3 戦後日本社会の設計図┴4 労働争議の蔓延と絶滅┴二 従業員代表制は転機になるか?┴1 企業別組合から排除された人々┴2 一九四九年改正の隠れた意図┴3 企業別組合と従業員代表制の複雑な関係┴参考書

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

89
最近のビジネス系の媒体での「ジョブ型」推しが気になり手にとる。なかなか専門的で苦戦。それでも、ジョブ型はイスに、メンバーシップ型は個人のポテンシャルに、それぞれ値段をつける、という説明は腑に落ちる。また女性の働き方に関する論は、細々と仕事を続けてきたプレ均等法世代としての実感にはまる。で、ジョブ型への移行が唯一の解?メンバーシップ型が行き詰ってるのは確かだが、教育や福祉等にがっつり紐づいてるから、こちらも変えていく必要があるし。人事権など美味しいとこは残して、痛みは労働者に・・・ってならなきゃいいけど。2023/05/07

Sam

56
網羅的かつ密度の濃い一冊。雇用に限らず賃金制度や労働時間の問題なども含めてジョブ型のことを正確に理解したければ本書一冊で十分であり、「間違いだらけのジョブ理論を一刀両断!」という帯に偽りなし。自分は米国でマネージャーも経験したので肌感覚としてジョブ型を理解していた一方で、「取組姿勢」や「人材育成」といった典型的な日本型マネジメントを持ち込んだものの手応えがなかったのも故なきことではなかったことが理解できた(安心した)。「沈まぬ太陽」の恩地元は日本型メンバーシップ経営の典型的な犠牲者であったわけだな。2022/01/26

niisun

44
あまり気にもせず会社員人生を送って来て、管理職になりました。能力主義という名のもとに、評価される立場の時も評価する立場になってからも、腑に落ちない能力(潜在能力とやる気)評価や採用面接の採用基準。不可思議な家族手当に残業代。ワークライフバランスやメンタルヘルスを巡って導入される制度の数々。これらの種明かしをしてもらった感じです。それぞれ感じていた違和感は勘違いではなく、実態と法制度の捻れだったり、せめぎ合いの成れの果てだったのかと腑に落ちました。外国人労働者の制度の変遷に至っては、もはやコントですね。2021/10/26

速読おやじ

40
日本ではメンバーシップ型からジョブ型に雇用を移行させましょう!みたいな掛け声が大きくなっているが、正直ジョブ型の定義も良く分かっていない。ジョブ型は労働時間ではなく成果で判断するみたいな事も言われているが、筆者はこれは全くの誤りであるとバッサリ。ジョブ型は職務を特定し、賃金もその職務に値札が付いている。同じジョブなら同じ賃金なのだ。なので、一般的には人事査定などする必要ないと(超ハイクラス人材は除く)。メンバーシップ型が根付いている日本でジョブ型を取り入れることの難しさが改めて分かる。詳細な解説多い良書。2022/02/08

Kano Ts

34
そもそもジョブ型雇用という具体的なイメージを持っていない自分にとっては衝撃を受ける内容だった。しつこいくらいに丁寧に様々な論点から説明してくれる。「ジョブ型・メンバーシップ型はあくまで分類の結果でた名前であり、ジョブ型が新しいモノでもない。」ということは覚えておきたい。流行として消費するのは危険に感じた。今ハリウッドでやっているストライキなどと繋げて考えていた。ただ最終盤が少し退屈で読み飛ばしてしまった。とにかく細分化・尖端化が進む世の中で、日本のメンバーシップ型雇用が復権する可能性はあるのだろうか。2023/08/23

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