内容説明
生きものの種を確定させることを「同定」といいます。「同定なんて図鑑をパラパラめくって同じのを探せばいいんでしょ」と思う人もいるかもしれませんが、そんな簡単なことではありません。「似ているのが多くて同定に自信がもてない」「どうしてパッと見で同定ができないんだろう……」。生きものが好きな人のなかにもこのように思っている方はたくさんいます。
「なぜうまく同定できないのか」「どういうプロセスで同定ができるようになるのか」を真剣に考えたのが本書です。勤務先の敷地内で昆虫とクモ800種以上を同定してきた、同定大好きな著者がお届けする、図鑑と同定のことをトコトン掘り下げた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
121
目の前にある自然物の名前を確定させる作業を「同定」と言うらしい。その作業の難しさ…というより面白さを著者は伝えてくれる。シダやハエトリグモの例題が示されるが、私にはみんな同じに見えて全く分からない。専門家は「目ができている」から一目瞭然だそうだ。著者の丁寧な説明から、凄さと楽しさが伝わってきて幸せな気持ちになる。将来AI同定が一般的になっても「私は自分の五感による同定をやめないでしょう。野外で身一つで、自分の知識と感覚のみを頼りに次々と種名を見いだせることの喜びは失われることはないからです」。いい言葉だ。2022/06/01
R
58
生物の同定を扱った面白い本でした。これを読んで科学というか、生物(理科)に興味を持つ子供が増えるといいなと思う内容なんだが、マニアックすぎるよなととても楽しく読んだのでした。割と汎用的に経験則というものの実例としても使えそうな内容で、同じように見えてもずっと調べてみていると、ポイントが見えてくるというのはその通りで、紹介されていたシダとか興味なかったのにすごい道端で見るようになってしまった。2022/05/15
翔亀
49
【シリーズ森28】生き物の名前を確定することを「同定」という。これはやり始めると楽しくて仕方がないのだが、終わりがなくてきりがなく、いつのまにか「作業」に陥るものだ。しかし、著者が語るように、「1種新たに同定するごとに」「今日は意味のある一日だったな、と不思議な満足感に包まれて眠りにつくことができるのです」(P171)。本書は、ハエトリグモの新種を発見し図鑑も著している理科教諭が同定愛を語る。同定は「いま、ここに生きているからできる無上の娯楽」「この星の豊かな生物多様性をダイレクトに味わうことのできる、↓2022/03/16
booklight
44
生物の同定大好きで、ハエトリグモの図鑑まで作った人が、どういうふうに生物を同定していくかを説明した本。簡単に言ってしまえば、色々な種類を見ていけば「目」ができるので、よく似た種類でも見分けがつくようになるという話。丁寧に説明してくれるので、当初とは別の疑問が出てきて個人的には面白った。実践してみようということで、自分の得意分野以外のシダの同定をしていたが、植物、とかではなく、シダ、というのも勉強になる。学術的同定、というのが非常に手間がかかるが、世界の知に参加するという楽しみもあり、なかなか奥深く思えた。2022/09/12
えも
39
そのスジで話題になっていた本が、いきなり地元図書館に入っていて、しかも案の定、誰も借りてないという状況だったので、私にとってはシメシメでした!▼そうそう、同定って言語化しにくいコツがあるんですよね。高校時代から化石に興味があったので何となく身について、そのコツが今のシダ散策に活かされてる気がします▼だから著者が丁寧に同定の構造を言語化してくれるのが妙にアルアルで、楽しい読書でした。2022/06/14
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