内容説明
捜査二課特殊知能犯罪係主任を拝命した郷間彩香。しかし、新設されたばかりの郷間班は、課をあげて追いかけている大手商社・亜秀商事の贈収賄事件を担当させてもらえない。「事件に大きいも小さいもない」と息巻く彩香は、亜秀商事の役員・峯の約十万円の横領容疑を追いはじめるが、峯と関係していた新田という男が不審死を遂げていたことから、大型贈収賄事件の端緒をつかんでいく─。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
157
面白かった。けど、謎はしょぼかった。アメリカの実在の犯罪をモデルにしたようだが、実在の方が巧妙だ。太陽にほえろでも同じネタが扱われた気がする。謎はどうあれ、事件を解明しようという勢力が班長以下の面子の他、神奈川所轄刑事、企業内、参考人と、だんだんに力を合わせてゆく姿にエールを送りたくなる。天才的なひらめきが解決した事案ではなく、主人公の粘り強い対話が徐々に人々を動かしてゆく。恋の行方はどうなったのだろう。2019/03/11
ehirano1
70
「芋づるは、途中で切ってはいけませんよ。芋づるは繋がっていてこそです。力任せに引っ張れば、大きな芋を地中に残したまま切れてしまいます。慎重に、いいですね(p293)」。部下に慎重さを求めるときの例えがうまいなぁ、と感嘆しました。2021/04/09
ehirano1
70
「いま、この場にはいなくても、その姿が見えなくても、その存在を思うことで、それは自分の中に生きていける。自分自身を構成する一要素として、しっかりと、存在できる。それを糧にして、自分もまた、生きていける(p450)」。最後の文にやたらと句読点が多いのは、ゆっくり噛み締めて読んでね、ということでしょうね。それだけ実践は容易ではないということの裏返しなのでしょう。2020/05/23
ehirano1
67
「迷ったらナゼナゼ分析(p308)」。なるほど、無意識にやっているように思いますが、このように“ナゼナゼ分析”と言語化すると定着しそうですね。2021/12/31
ehirano1
65
このシリーズが好きなのは後日談がとっても楽しいからです。今回も満喫できました。2018/03/17