内容説明
土一揆の勃発、足軽・町衆の台頭――
戦乱の京都、民衆たちは歴史の表舞台に登場した
民衆が歴史の表舞台に登場し、日本文化の伝統が形成された戦国時代の京都。その実像とはどのようなものか。本書は山門と五山の争い、幕府財政、警察制度、徳政一揆等を素材に政治経済都市としての中世末期の京都を概観、応仁の乱後の自治都市成立までを精緻な論証に基づいて活写する。中世史研究に一石を投じ高い評価を得た幻の名著、待望の電子化。
目次
第1章 東班衆の世界――室町幕府の財政と荘園政策
幕府の裁判記録にみる有徳人衆
室町幕府の財政構造
東班衆と足利将軍
五山禅院の経済的基礎
第2章 五山と北嶺
南禅寺楼門撤却事件
根本中堂自焼事件
山門領主権の衰退
第3章 門前検断と釘貫――権門の町屋支配
京都における門前検断
奈良における寺内検断
地方頭人の町屋支配
釘貫の変遷過程
第4章 落日の室町幕府
所司代から管領代へ
「堺幕府」の成立と崩壊
茨木長隆とその時代
信長上洛前夜の京都
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
16
分析の地理的範囲は京都とその周辺のみで非常に狭い。だが、これらの重要極まりない土地を確保できたことが室町幕府の生命線であった。わずかな直轄地と弱体な直属軍しか持たない政権が支配を維持できる摩訶不思議。本書はそのからくりを、将軍の権威や武威ではなく経済面から解き明かしていく。カネを集めることだけに特化した幕府の有様は異一周回って感心してしまうほどだが、彼らと組んで経済を動かしていたのが仏教勢力というのも中世的。色々な発見があって読みどころが多い。2026/07/09
Jampoo
15
主に義教以降の室町幕府が京都周辺をどのように支配したかについて着目した本。 五山寺院こそが室町幕府の主要な経済基盤であり、故に南都北嶺との利害の折衝が重要な問題だった。 信長入京以前まで、三好長慶らが支配していた時代も京周辺では寺院や貴族の荘園が重要な基盤になっていたというのは衝撃。荘園体制は戦国時代にはとっくに崩壊しきっているものかと思い込んでいた。 一向一揆の勢力を自力で追い出した法華宗の民衆が、じゃあ領主に地子銭を払わなくて良いのではと考えたのは面白い。2026/07/13
qwer0987
8
専門的なので理解しきれたか自信はないが、わかりきれないなりに興味深かった。関心を引いたのは室町幕府の財源がどこから得ているかという点だ。その徴収は酒屋や土倉からもあるけど、土一揆の関係上五山寺院からの依存度が増し、五山も幕府の後ろ盾を得て強大化する様は目を引く。しかし応仁の乱で五山が荒廃したことで幕府の統治機構も変わる。管領制だったものが、管領代による文書発給に代わり、将軍権力は弱体化、管領代だった三好家の台頭を生む。けど幕府の影響もまだ無視できず義輝暗殺に流れる過程など、勉強になるものばかりだった2023/02/22
in medio tutissimus ibis.
5
戦国時代の寺社勢力といえば主に織田信長の敵役としての延暦寺や一向一揆などがメジャーどころだが、室町時代という時代からすればそうした旧権門よりも新仏教、特に五山禅院の実務者集団、東班こそが重要だった。彼らは室町幕府の金蔵であり、吏僚であり、外交官であり、徴税代理人として活躍した。旧権門荘園の代官となり、また旧権門の荘園を蚕食もし、祠堂銭を土倉に貸し付け、それは徳政令によっても減免されない特権を持っていた。然し乍ら、幕府と一体となって権勢を誇った彼らは、応仁文明の乱ののち幕府とともに凋落していく運命にあった。2023/07/04
minato
4
原本は1975年に書かれたものですが全く古さを感じさせ無い本でした。管領代絡みの細川氏の家政機構と幕府の融合の話は後期鎌倉幕府と得宗家公文所の一体化に通じるものがあり興味深かったですね。2016/07/13




