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内容説明
長年昇進を望みながら叶わなかった下級官人。宮廷を襲った疫病。闘乱に明け暮れる人々……。古記録から平安京の息吹を伝える一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
122
藤原氏最盛期の平安時代の日本は国家としての体をなしていたと思えないほど、ズブズブのいい加減な法制や官僚制の実態に呆れる。一生うだつが上がらぬ下級官人は仕事を適当にやっつけて、僅かな権力をカネや地位のため振りかざす。栄華を誇る一部公卿の子弟や犯罪者がやりたい放題を繰り返す一方、庶民は貧苦と災害と飢餓にさらされ続けるのだ。社会政策や法の支配という概念がなかったとはいえ、ターザンが活躍するアフリカか火星のバルスームに近かったのでは。ひよわな現代人など絶対に生きられない、厳しい生存競争の世だったと思い知らされる。2022/02/17
南北
76
説話文学などからではなく、貴族の日記から当時の下級官人たちの記述をもとに当時の様子を明らかにしようとしているが、残念ながら成功しているとは言い難い。まず記述されること自体が少ないということ、さらに記述されること自体が特異な事象であって。一般的なものではないということが挙げられる。また当時の貴族たちの言葉を現代語訳したものが、まるで高校の古文の訳のようで実感できないこともあり、あまりお勧めはできないと思った。2022/03/31
ホークス
49
2022年刊。本書を読んだのは、律令の官制に興味を持って調べた事があるから。式部省や内蔵寮の文官。衛門府や近衛府の武官。京職や受領。今に残るワードが結構多い。本書は下級官人及び平安京のよもやま話。時代の暴力性、露骨な人間の業がいっぱい。高級・中級官人は藤原氏の天下だけど、下級は和気、巨勢、小野など古い氏族も健在。源氏平氏ら臣籍降下組も多い。学問に強い大江、菅原も居る。組織や共同体は、できた端から陳腐化して行くもの。でも属する個人は既得権や経験値に固執する。小集団でも一人でもこの矛盾は免れない。2022/04/29
つーこ
35
藤原道長や行成の時代と彼らの息子の時代。名も知られず何の記録も残っていない。そんな下級官人や庶民によって平安時代は現在へと繋がっている。特に筆まめな藤原実資のおかげで、彼らの生活や事件・事故・文化が垣間見れるというとても興味深い本だった。加えて、歴史にあまり詳しくない私でも分かりやすく読みやすい文章でもあり、思いがけずとても楽しめた。2024/06/02
ゲオルギオ・ハーン
29
本書は当時の記録をもとに平安京の実務を行った六位以下の下級役人を中心に当時の社会の様子を部分的に書いている。記録から逸脱しないように気を遣って考察している。個人的に当時の日本で律令制が成り立たない理由が気になっていたので、本書で紹介されている事例から分かる貴族たちのモラル低下、都の行政能力の低下具合が分かったので有益だった。摂関政治は儀礼と階級制度を重んじることで首都と国内の秩序を保とうと目指したように思えた。育成制度がイマイチ分かりにくいのでその点が調べられる資料を探していきたい。2022/11/19
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