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内容説明
わずか2カ月で9人が犠牲となった座間9人殺害事件。すでに犯人には死刑判決が下ったが、これで終わりとは言えない。Twitterに希死念慮を吐露した女性が殺害された池袋ホテル殺害事件や、SNSを通じて知り合った女子中学生の自殺を幇助した事件など、類似の事件は起き続けているのだ。なぜ座間9人殺害事件は起きたのか。被害者はどんな心の傷を負っていたのか。若者の生きづらさを長年取材してきた著者が事件を再検証する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
120
2か月間で9人が殺された事件はショッキングだったが、何より人に殺されてでも死にたがる人がこんなに多いのが驚きだった。いじめや過労で心身とも傷つき自殺を考える人が増えたのか、SNSの発達で自殺をしやすくなったか。しかも犯人は被害者に同情して死を助けたのでなく、娯楽としての人殺しの猟場を見つけただけの殺人愛好家なのだから救われない。自らを「人を殺すことで更生させる善行者」と称したアメリカの連続殺人犯を連想してしまう。戦争は殺人の敷居を下げるといわれるが、平和な時代だからこそ簡単に殺し殺される状況が見えてくる。2022/03/05
gtn
33
SNSの負の面が表出した極点な例。加害者Sは、Twitterを駆使し、即時に被害者に繋がり、自らの欲望を満たしたらしい。SNSの利便性は認める。だが、"待てない"若者、"短絡的"な若者は、今後も増え続ける。2022/06/05
かんやん
30
たった二ヶ月の間に9人を殺害とは、完全に歯止めが効かなくなっている。途中からは隠そうともしていない。この犯人、希死念慮の強い女性に寄り添うフリをするのが実に巧みで、その偽りの優しさが事件をより一層おぞましくしている。「彼はそれぞれの犯行を個別の事件としては記憶していなかった」読んでいてもそうで、いつのまにか混ざり合い、繰り返し、反復に見えてくる。「全体の流れとして把握しているようだった」殺害された方々のご冥福を改めて祈りたい。2024/10/13
小鈴
28
殺人鬼にはなにか「闇」を求めてしまう。が、いくら読んでも闇は出てこない。あるのは金銭要求と場当たり的な欲求。ひたすらに薄っぺらだ。だからこそ不気味だ。価値観がカネしかない。取材もカネ、最初の殺人の動機もカネ。そのときだけは解体で頭痛がした。しかし、二回目の殺人で強制性交にはまる。金がなさそうなら強姦して殺人。頭痛もない。食事も普通にして眠る。遺体を解体し、遺体とともに寝起きする。ネットナンパの手口で自殺願望者を誘蛾灯のように引き寄せる。ヒモになりたかった男は、日本史上稀に見る殺人鬼に。2022/03/12
遊々亭おさる
26
僅か三ヶ月の間に自殺念慮のある男女9名を自宅アパートで殺害した事件の裁判を追いかけた一冊。犯人である白石死刑囚はDr.キリコではなかった。犯行理由は強姦と金品強奪のため。SNSが白石死刑囚と被害者たちを結び付けた。いじめや性犯罪の被害者であった。あるいは、どんなに頑張っても他者と同じ事が出来ない。生きずらさを抱える若年層の孤独を癒す場でもあるネット社会の光と闇。ネットを悪とするのは簡単だが、利用制限によって行き場を失う子も出てくる。弱者を取り巻く社会の有り様を考えることがこの事件の教訓に繋がるのだろうか。2022/02/26
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