〈つながり〉の戦後史 - 尺別炭砿閉山とその後のドキュメント

個数:1
紙書籍版価格
¥2,200
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

〈つながり〉の戦後史 - 尺別炭砿閉山とその後のドキュメント

  • 著者名:嶋崎尚子/新藤慶
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2022/01発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 600pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234773

ファイル: /

内容説明

炭鉱から生まれた「縁」は、ヤマの誕生から閉山、そして現在まで、人々をどう支え続けてきたのか。

1970年に閉山した北海道・尺別炭砿のコミュニティの生活実態を、職場・家族・学校・地域の「縁」をキーワードに掘り起こす。そのうえで、閉山、地域社会の消滅、約4,000人の半強制的な移動という衝撃的なプロセスを活写する。

そして、全国に散った人々が各地に定着していったありよう、同郷団体を結成していまも交流する様子、当時子どもだった者が抱える「故郷喪失」の思いなど、いまに続く「つながり」も照らし出す。

生活者の視点から炭鉱の閉山とその後を捉え直し、戦後史に位置づける社会学の成果。

目次

はじめに 嶋崎尚子

第1章 「縁」の集積からみる炭鉱コミュニティ――ねらい 木村至聖
 1 炭鉱コミュニティの存立基盤
 2 炭鉱コミュニティの多様性と〈つながり〉の生成
 3 〈つながり〉が果たす役割

第2章 尺別炭砿――戦後のあゆみ 嶋崎尚子
 1 尺別炭砿の概況と特徴
 2 尺別の社会的・空間的配置
 3 研究対象としての尺別――〈つながり〉の炭鉱

第1部 炭鉱コミュニティでの「縁」の集積――尺別の戦後史

第3章 炭鉱労働での「職縁」――〈つながり〉と信頼 嶋崎尚子
 1 炭鉱労働の固有性と階層性
 2 労働現場での信頼とつながり
 3 合理化への抵抗と保安対策

第4章 炭鉱家族の「血縁」――〈つながり〉と暮らし 嶋崎尚子
 1 炭鉱住宅での家族の暮らし
 2 炭住での家族単位の労務管理
 3 炭住での家族生活と〈つながり〉

第5章 炭鉱の学校と「学縁」――子どもたちの〈つながり〉 笠原良太
 1 炭山に育てられる子どもたち
 2 炭鉱の学校――炭山社会の中心的機関
 3 炭鉱の学校での生活
 4 炭山を離れる子どもたち

第6章 炭鉱コミュニティの「暮らし」――尺別の地縁の多層性 新藤 慶
 1 尺別地区の位置と規模
 2 炭鉱従業員諸階層間の地縁――共同水道・共同浴場を中心に
 3 余暇活動や購買行動で築かれる地縁
 4 尺別炭砿コミュニティと周辺コミュニティの関係――就労と交通
 5 「オカの暮らし」と〈つながり〉

コラム1 ヤマを、会社を、自分を守る「炭鉱人」――堀利男さんインタビュー

コラム2 戦争・引き揚げ、閉山を乗り越えて――田村豊穂さんインタビュー

コラム3 「ヤマの女」がみた尺別の助け合い――米田冨美子さんインタビュー

第2部 炭鉱閉山と「縁」の離散――一九七〇年二月

第7章 尺別炭砿の閉山と地域崩壊――閉山ドキュメント 笠原良太
 1 雄別炭砿企業ぐるみ閉山
 2 尺別炭山の崩壊
 3 地域の消滅

第8章 閉山後の再就職――離散からの再出発 畑山直子
 1 尺別炭砿閉山と離職者
 2 閉山離職者の再就職の実態
 3 閉山離職者の再就職の苦悩――『労働組合解散記念誌 道標』での再就職者訪問の記録から

第9章 尺別からの転出――「縁」を活用した再就職と移動 嶋崎尚子
 1 突然の閉山と再就職
 2 誰と移るか
 3 福山への集団就職と集団移住

コラム4 看護婦として、炭鉱とともに――宗村達江さんインタビュー

コラム5 ヤマの子がヤマの先生に、そして閉山――川端紀一さん・佐藤巧さんインタビュー

第3部 「炭鉱の縁」の展開――故郷喪失からの五十年

第10章 「地縁」のゆくえ――同郷団体にみる新たな〈つながり〉 新藤 慶
 1 尺別出身者の同郷団体・同郷集団
 2 東京尺別会の結成と展開
 3 東京尺別会がもつ意味と展望
 4 しなやかな〈つながり〉へ

第11章 「学縁」の展開――閉山時高校生・中学生の五十年 笠原良太
 1 閉山と「学縁」
 2 「学縁」の潜在化
 3 「学縁」の結び直し
 4 「学縁」と人生の再検討

第12章 継承される炭鉱の「縁」と文化 木村至聖
 1 尺別の絆とその継承
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

モルテン

8
浅学にして炭鉱について知らないことばかりでワクワクしながら読んだ。北海道東部の尺別炭鉱。そこでの仕事・暮らし・学校生活、そして閉山、閉山後の〈つながり〉についての調査結果である。一番の驚きは閉山で尺別に住んでいた全ての人が離散したことと、再就職を組合が責任をもって世話し、なんと再就職後の様子を確認するために再就職先へ訪れることまでしたこと。今、ここまで手厚い支援を行っている組織はあるだろうか。閉山によって故郷を喪失した人々のつながりもまた興味深かった。炭鉱と尺別の特殊性も少なからずあろうが、故郷喪失は→2021/07/15

やご

0
以前読んだ、「炭鉱と『日本の奇跡』」の姉妹篇ということになります。あちらは産業としての炭鉱に焦点をおいたものでしたが、こちらは炭砿をその中心としていた地域社会の暮らしと閉山に伴う生活の激変の記録です。1970年に閉山した北海道の尺別炭砿が調査の対象となっています。 (続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1226.htm2022/01/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16728902
  • ご注意事項

最近チェックした商品