内容説明
炭鉱から生まれた「縁」は、ヤマの誕生から閉山、そして現在まで、人々をどう支え続けてきたのか。
1970年に閉山した北海道・尺別炭砿のコミュニティの生活実態を、職場・家族・学校・地域の「縁」をキーワードに掘り起こす。そのうえで、閉山、地域社会の消滅、約4,000人の半強制的な移動という衝撃的なプロセスを活写する。
そして、全国に散った人々が各地に定着していったありよう、同郷団体を結成していまも交流する様子、当時子どもだった者が抱える「故郷喪失」の思いなど、いまに続く「つながり」も照らし出す。
生活者の視点から炭鉱の閉山とその後を捉え直し、戦後史に位置づける社会学の成果。
目次
はじめに 嶋崎尚子
第1章 「縁」の集積からみる炭鉱コミュニティ――ねらい 木村至聖
1 炭鉱コミュニティの存立基盤
2 炭鉱コミュニティの多様性と〈つながり〉の生成
3 〈つながり〉が果たす役割
第2章 尺別炭砿――戦後のあゆみ 嶋崎尚子
1 尺別炭砿の概況と特徴
2 尺別の社会的・空間的配置
3 研究対象としての尺別――〈つながり〉の炭鉱
第1部 炭鉱コミュニティでの「縁」の集積――尺別の戦後史
第3章 炭鉱労働での「職縁」――〈つながり〉と信頼 嶋崎尚子
1 炭鉱労働の固有性と階層性
2 労働現場での信頼とつながり
3 合理化への抵抗と保安対策
第4章 炭鉱家族の「血縁」――〈つながり〉と暮らし 嶋崎尚子
1 炭鉱住宅での家族の暮らし
2 炭住での家族単位の労務管理
3 炭住での家族生活と〈つながり〉
第5章 炭鉱の学校と「学縁」――子どもたちの〈つながり〉 笠原良太
1 炭山に育てられる子どもたち
2 炭鉱の学校――炭山社会の中心的機関
3 炭鉱の学校での生活
4 炭山を離れる子どもたち
第6章 炭鉱コミュニティの「暮らし」――尺別の地縁の多層性 新藤 慶
1 尺別地区の位置と規模
2 炭鉱従業員諸階層間の地縁――共同水道・共同浴場を中心に
3 余暇活動や購買行動で築かれる地縁
4 尺別炭砿コミュニティと周辺コミュニティの関係――就労と交通
5 「オカの暮らし」と〈つながり〉
コラム1 ヤマを、会社を、自分を守る「炭鉱人」――堀利男さんインタビュー
コラム2 戦争・引き揚げ、閉山を乗り越えて――田村豊穂さんインタビュー
コラム3 「ヤマの女」がみた尺別の助け合い――米田冨美子さんインタビュー
第2部 炭鉱閉山と「縁」の離散――一九七〇年二月
第7章 尺別炭砿の閉山と地域崩壊――閉山ドキュメント 笠原良太
1 雄別炭砿企業ぐるみ閉山
2 尺別炭山の崩壊
3 地域の消滅
第8章 閉山後の再就職――離散からの再出発 畑山直子
1 尺別炭砿閉山と離職者
2 閉山離職者の再就職の実態
3 閉山離職者の再就職の苦悩――『労働組合解散記念誌 道標』での再就職者訪問の記録から
第9章 尺別からの転出――「縁」を活用した再就職と移動 嶋崎尚子
1 突然の閉山と再就職
2 誰と移るか
3 福山への集団就職と集団移住
コラム4 看護婦として、炭鉱とともに――宗村達江さんインタビュー
コラム5 ヤマの子がヤマの先生に、そして閉山――川端紀一さん・佐藤巧さんインタビュー
第3部 「炭鉱の縁」の展開――故郷喪失からの五十年
第10章 「地縁」のゆくえ――同郷団体にみる新たな〈つながり〉 新藤 慶
1 尺別出身者の同郷団体・同郷集団
2 東京尺別会の結成と展開
3 東京尺別会がもつ意味と展望
4 しなやかな〈つながり〉へ
第11章 「学縁」の展開――閉山時高校生・中学生の五十年 笠原良太
1 閉山と「学縁」
2 「学縁」の潜在化
3 「学縁」の結び直し
4 「学縁」と人生の再検討
第12章 継承される炭鉱の「縁」と文化 木村至聖
1 尺別の絆とその継承
ほか
感想・レビュー
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