内容説明
自分とそっくりな女に出会い、替え玉に仕立てようとする岸浜涼子。友人を殺人容疑の圏外に連れ出すべく、策を巡らす風山秀樹。大阪の街を移動し、アリバイ工作に勤しむ大幹昌雄。それぞれが、それぞれの思惑を抱き行動したあと、まず発見されたのは切断された死体だった。岸浜の夫が経営する会社に手首が届き、地下鉄の網棚の上に置かれたバッグからは顔を潰された首が、そして占い教室から胴体が見つかる。これらはすべて同一人物のものと特定されたが――この死者は誰なのか? 本格推理の極北を歩み続けた孤高の作家、山沢晴雄。その幻の代表長編をついに創元推理文庫に収録する。/【目次】[ダミー・プロット]序章/第一章 奇妙な契約/第二章 犯行以前/第三章 首/第四章 二つの死体/第五章 アリバイ/第六章 殺意の接点/第七章 昏迷/第八章 録画は語る/第九章 壬庚子の秘密/終章/[推理クイズ]賭博/おんぼろバス/探偵学初歩/アリバイ/[エッセイ]本格のトリックは出つくしたか?/トリック問答/想い出五十年/編者解題=戸田和光/盤上のメトロポリス――山沢晴雄小論=芦辺拓
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あっちゃん
37
昭和感ハンパない本格ミステリー(笑)内容もそうだけど登場人物達の言葉づかいが昭和を思わせるんだろうなぁ!アリバイトトリックにそっくりさんの替え玉、懐かしい感じだけどラストは結局騙されてる私( ̄▽ ̄)2023/05/01
geshi
23
推理小説の時代に本格ミステリのような仕掛けを成立させようとした挑戦的作品。序盤から、替え玉との入れ替えや、アリバイの偽証、怪しげなアリバイ工作など、仕込みを入れてきて「顔のない死体」で挑戦してくる。時代ゆえのスマートではない話運びは難があるが、トリックの一部を読者に見せながらも、もう一つの仕掛けによって困惑させる。一つ一つの小さなアリバイトリックに関しても抜かりなく、フェアすぎる書き方がされていなければ現代でも騙されるかも。この作品で砧が必要なかったこと筆者が分かってるよね?2022/07/30
イシグロ
19
孤高の本格ミステリ作家・山沢晴雄の幻の長編『砧自身の事件』を改題。 「手品文学」と呼ぶにふさわしい偏執的なまでのパズル志向に清々しさすら感じます。小説としては決してスマートでもスタイリッシュでもないですが、時代を超えた溢れる本格愛を感じずにはいられません。 編者解題にもありましたが、あの「影の声」は今の読者からすると野暮かもしれないですね。あれはない方がスマートかも。 しかし、これだけの力作が今まで同人誌でしか読まれてこなかったというのはもったいない話です。新作にして古典という不思議な感覚を味わいました。2022/12/06
Urmnaf
17
探偵小説の中では、いわゆるそっくりさんは取り扱いが難しいが(十戒やら二十則やら)、この作品では、とある有名人が自分の替え玉を作るところから始まる。二人のそっくりさんがいる前提で読み進むことになるが、もちろん、話はそれで終わらない。出てくる人がことごとく「悪巧み」をしてる人ばっかりで、もう何がなんやら。久しぶりに眉にしっかりと唾を付けて読んだ。2022/03/13
ツバサ
11
まさにダミープロット。すっかり騙された。そっちかーとミスリードされました。探偵・砧の出番よりも事件周りの関係者の視点から描かれていて、どう暴いていくのか気になりましたが、アリバイ崩しやダミーを見破る推理が見事でした。2022/02/25




