内容説明
「われわれは何故ミステリを読むのか? 何がかくもわれわれを魅了するのか? 本書は、スリリングな謎解きの記録だ。全編が興奮のクライマックスである」(有栖川有栖)。ミステリの長い歴史は、絶えず正統性から逸脱しようとする「歪み」獲得の歴史だ。トリックや趣向のパターンを精緻かつ執拗に分析しつくした、根源的にして野心的な長編文芸評論。第4回本格ミステリ大賞と第57回日本推理作家協会賞をW受賞した名著!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Cinita
13
学生時代に読んでたいへん感銘を受けた一冊。いま再読しても全く古びておらず、この論は最近のこの作品にも当てはまるな〜と思える部分も多くて、面白さを再確認できた。/先例を踏まえつつそこから更なる意外性を求めて模索するミステリという特異な文芸ジャンルが、これまでに遂げてきた変容の歴史を、「名探偵」「操り」等々のテーマからそれぞれ切り込んだミステリ評論で、膨大な実例を挙げて語られる内容は説得力抜群。とくに語りの技法を取り上げた第三章は、逆説的だけどわかりみの深い論が次々展開されて、再読なのにワクワクしちゃった。2023/09/14
山田太郎
9
ネタばらさないようになんだかよく意味わかんない評論読むとイライラするので、これは面白かったです。2011/02/01
mano
5
ミステリをある程度読んでいない人にとってはさわれない作品。ネタバレの嵐。私は言及されている作品の半分くらいしか読んでいなかったけれど、もういいやと思って読んでしまいました。ネタを知っても、忘れればいいのです。中身は興奮の連続。ミステリのエキスパート千街晶之さんが堅苦しくなくミステリの魅力が存分に語りつくしてくれます。2009/06/20
サト
3
ミステリ関連の論評で頻繁に見かける著者の考えをまとめて読みたくなったので手にとった。意外性を追究した本格ミステリが変容していく様が分かりやすく、かつ刺激的に述べられている。真相に触れられているため趣旨が飲み込みやすい。ネタバレの嵐で何十冊もの傑作の真相を知ってしまうので今後の楽しみが減るかと思いきや、むしろ倒叙的な楽しみ方ができそうで読みたい本が増えた。本格ミステリの仕組みが把握できる指南書として面白く読めた2011/08/20
Genei-John
2
以前、酒席で千街さんに、台湾の島崎博さんに本書をお送りしたことを話すととても恐縮された。しかし、早稲田の古本屋で入手してお送りしたことを告白すると『この本が古本屋にあったことも嬉しい』といってくださる。2013/03/16