内容説明
江戸を離れて京都で心学者・石田梅岩の家に寄宿する新井白蛾は、ある日朱色の衣をまとったこの世のものならぬ美しい娘・朱姫と出会う。彼女に導かれた白蛾は奇妙な算木を見つける。以来、易に熱中し「八卦見の白蛾先生」として知られるようになる。彼だけが見え、話ができる朱姫との清らかな恋。だが、凄まじい的中率を持ち、時や場所を超えて求める真実を映像として見せる力を持つ秘易は、手にするものが己のために占えば力を失うという言葉通り、自らの運命は杳として知れなかった。京に相次ぐ火難の謎を追ううち、秘易の意味や出生の秘密等が明らかになり──。実在の人物を主人公に占術と恋を描き、時代小説に新風を吹き込んだ話題作!
目次
第一章 火天大有
第二章 天雷无妄
第三章 天水訟
第四章 天地否
第五章 震爲雷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いぼいのしし
36
実在の人物を主人公にしたファンタジー。頻発している秘密をばらされたくなければ金を払えという脅迫をうけた者からの相談を受け、主人公は古代の巫女朱姫の不思議な力をかりて真相を追う。。。おもしろかったけれど、思ったより壮大な話だったのでちょっとびっくりした。2022/01/03
豆乳くま
17
実在の人物新井白蛾。江戸から京都へ来散歩中に不思議な神社へ誘われる。そこは既に火事で焼ちているはずで謎の巫女に出会い八卦見の易具を拾うが。古代中国から江戸中期とかなりスケールが大きくなって不安になったが、ファンタジーとしてロマンスとしてなかなか面白かった。三好昌子さんやはり面白い。2022/01/07
onasu
12
実在の儒学者で、京で易学者として名を馳せた人物の前日譚といったところで、おもしろく、あっという間に読めて、後味も悪くないのだが、奇譚とは言え、実名の者の生々しい話しがあると、どうしても生臭さが生じてしまうというのがどうか。2021/12/31
一五
7
易学者 新井白蛾 実在だって?! 易学中興の祖? ファンタジー入ってるが、おりおり出る卦を興味深く読んだ。少しだけ易に関心向いてたこともあり…。2022/03/19
アヤ
3
実在したという易学者、新井白蛾の物語というところから想像していた話と全然違った! ファンタジーと言い切ってしまうには題材が題材なので微妙だけど、かなりファンタジックでした。切り口を変えれば、あれこれ話が作れそうな題材でもあったかと。2022/11/06