内容説明
明治40年夏、与謝野鉄幹が北原白秋、木下杢太郎、平野萬里、吉井勇の若き四詩人を連れて九州を旅した。「五人づれ」という連名で「東京二六新聞」に連載された紀行文『五足の靴』には、その後活躍する詩人たちの才能の萌芽を見ることができる。2018年に世界遺産に指定された長崎、天草の地も踏んでいた彼らの足跡を、森まゆみが10年以上かけて歩き、追体験した詩情と旅情あふれるノンフィクションは、知られざる名著の解説書、歴史を体感できる旅へと誘う極上のガイドブックでもある。世界遺産(文化遺産)「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を巡る付録つき。
目次
人物紹介
一、大人の修学旅行、東京を出発
二、安芸の宮島厳島神社へ
三、赤間が関
四、福岡
五、砂丘
六、灰色の柩、柳河
七、雨の日――佐賀
八、吉井勇
九、唐津
十、松浦佐用姫の領巾振山
十一、旅の費用と成果
十二、佐世保
十三、平戸の南蛮文化
十四、平戸再訪、的山大島へ
十五、呼子、名護屋城
十六、外海、原城
十七、大村の切支丹と戊辰戦争
十八、長崎、稲佐
十九、長崎再訪
二十、茂木港から――荒れの日
二十一、天草上陸
二十二、蛇と蟇
二十三、大失敗
二十四、大江天主堂
二十五、海の上――大江~牛深
二十六、「有馬城址」、じつは島原城
二十七、長洲
二十八、熊本
二十九、阿蘇登山
三十、画津湖
三十一、三池炭鉱
三十二、柳河再訪、みやびを
三十三、徳山――与謝野寛のふるさと
三十四、西京
三十五、京の朝――長崎懐古
三十六、京の山、大原女
三十七、その後の五人、そして野田宇太郎のこと
付録一、天草再び 二〇一九年
付録二、世界遺産と春日集落 二〇一九年
付録三、外海に息づくド・ロ神父の村づくり
付録四、平戸・長崎 二〇二一年夏
付録五、大分のキリシタン遺跡 二〇二一年七月
あとがき
文庫版あとがき