内容説明
2019年、ペルシア湾の島国バハレーンの古墳群が世界文化遺産に登録された。バハレーンには今から4000年前、南メソポタミアとオマーン半島、そしてインダス地域を結ぶ海上交易を独占して繁栄をきわめた海洋の王国・ディルムンの人々が、約7万5000基もの古墳を築いた。資源に乏しいメソポタミア文明を物流の面から支え、この文明の生命線を握っていたのが、ディルムンであった。この王国を築いた人々は、それまでほぼ無人の地だったバハレーンにどこから移住してきたのか? なぜ、紀元前1700年頃を境に急速に衰退し、王都や神殿が打ち棄てられ、巨大な王墓の建造が終焉を迎えたのか? 日本の発掘調査団の中心メンバーである著者が、最新の考古学的成果を踏まえ、ディルムン文明の起源と崩壊の謎の解明に挑む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toshi
19
「ディルムン」とはペルシャ湾に浮かぶ島国「バハレーン」のこと。30年以上も前にバハレーンに住んでいたことがあり、紀元前の遺跡や、また砂漠の真ん中に「生命の樹」があり、エデンの園はバハレーンだったかも知れないなどと言う話を、眉に唾つけながら聞いていた記憶がある。それがメソポタミア文明に遡り栄えた交易国家だったとは。もっとちゃんと見ておけば良かった。実際にバハレーンで遺跡の発掘に携わる研究者による真面目な本である。メソポタミアから他地域への海洋貿易のハブとして栄えたディルムンの盛衰を、遺跡研究から解き明かす。2023/01/09
月をみるもの
19
メソポタミア文明とアラビア半島、そしてインダス文明との間をつなぎ、交易によって栄えた海洋王国ディルムン。数万におよび古墳は、まさに島を埋め尽くさんばかり。砂漠にいた遊牧民がこの島に移住し、やがて海洋民となったという歴史を解き明かしたのは日本の発掘隊。次はどこかに沈んでいるはずのディルムン船の発見だ!2022/03/09
MUNEKAZ
12
「謎の海洋国家」と何だか怪しいタイトルだけど、中身はすごくまっとうなもの。現在のバーレーンにあった古代の交易国家ディルムンの最新研究を紹介する。古代メソポタミアとインダス文明を結ぶ結節点として繁栄する姿は、あまりスポットの当たることのない湾岸諸国の古代史に触れる内容で大変面白い。また発掘に携わった考古学者たちのプロフィールにも触れることで、無味乾燥な遺跡紹介になりがちな古代史に、ほんのりと人間ドラマを感じさせて良い塩梅かと。2024/06/27
スプリント
10
バハレーンに古代に栄えていたというディルムン王国。 名前を聞いたことがあるくらいで具体的なことは何も知らなかったので勉強になった。2025/09/15
ジュンジュン
9
ペルシャ湾に位置するバハレーン島(バーレーン)は7万5000もの古墳が存在したという。いったい誰が遺したのか?発掘に携わる著者の最新調査報告書。メソポタミアの史料に登場する交易国家ディルムンがここ。古墳の形状から砂漠地帯からメソポタミアに侵入した遊牧民族アモリ人(あのハンムラビ王と同系)ではないかと。メソポタミアの影響が大きく、そこが分裂状態で弱まった時だけがディルムンの最盛期だったようだ。ただ文字史料が数点なのが現状。今後楔形文字が出てくれば…。2024/05/04




