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内容説明
インターネットやSNSを中心に沸き起こる、尽きることのない分断・衝突・ぶつかり合い――。「炎上」という現象をかくも夥しく呼び起こしてしまう今日の社会、すなわち「炎上社会」は、どんな対立構造を持ち、いかなる紛争状況を抱えているのか。また、その背景にはどんな社会構造があり、時代状況があるのか。本書の意図は、炎上社会の成り立ちを分析し、炎上という現象の社会的な意味と文脈を明らかにすることである。
【目次】
第1章 自粛警察と新自由主義
第2章 SNSの倫理と新自由主義の精神
第3章 ハッシュタグアクティヴィズムの光と影
第4章 差別と反差別と反・反差別
第5章 誹謗中傷と共感市場主義
第6章 キャンセルカルチャーの論理と背理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
26
必見!SNSトラブルの社会史であり、この新しい現象を読み解く視座を与える。東浩紀より鮮やかに読み解いていると思います。SNSで起こっているこの現象はいったいなんなのか。自粛警察からはじまり、バイトテロ、差別主義と反差別主義運動、ヘイトスピーチ、誹謗中傷の嵐と共感の嵐、そしてキャンセルカルチャー。伊藤昌亮は見事に読み解く。個人的にはデュルケムとの相性の良さに驚きました。昨今の萌え絵を巡るポリコレも伊藤の視座から分析できる。迷走するSNSを鮮やかにさばく手腕にほれぼれした。2022/02/02
buuupuuu
23
一口に「炎上」といっても様々なものがある。著者はハッシュタグ・アクティビズムのようなものもここに含めて考察している。SNS時代の炎上が、街頭での暴動やデモと異なるのは、参加への敷居の低さと顕名性の高さである。炎上は集合的沸騰によって新たな規範を打ち立てることであり、自己呈示への要求が炎上へのコミットを強化する。著者は炎上を単なる悪とは見ておらず、弱者へのエンパワメントとしても機能するとして両義的に見ている。差別と反・反差別が異なるというのは、前から言われていることだが、はっきり述べられていて分かりやすい。2022/08/13
スプリント
16
SNSの普及で承認欲求の暴走が更に加速した印象。 極端な正義や自己中心的なイタズラ、他者が存在しないかのような書き込み。 法整備が急がれる。2022/02/13
masa
8
どの章も分かりやすく書かれていたが、特に第4章の「差別と反差別と反・反差別」が、ナイキのCMの騒動等の直近の出来事に触れながら説明されており、勉強になった。2022/05/05
白黒豆黄昏ぞんび
7
ポリタスTVの山上容疑者ツイート分析会が面白かったので。2022/09/17