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内容説明
1744年にアラビア半島に誕生したサウジアラビア。王政国家、宗教権威国、産油国の貌を持つキメラのような存在だ。王室内の権力闘争や過激主義勢力との抗争、石油マネーをめぐる利権により、内実はヴェールに包まれている。中東の新興国はいかにして「イスラーム世界の盟主」に上りつめたのか。宗教・経済・女性問題は克服できるか。イスラームの国家観と西洋近代の価値観の狭間で変革に向かう、大国の実像を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
94
特定の一族が国を私有するのは北朝鮮とサウジアラビアか。どちらも思想や宗教が政治と一体化することで権力を合法化しているが、イスラームの聖地を抑える盟主を自任しながら米国と石油で深く結びつくサウジは多数のテロ犯を出しても世界の批判を免れてきた。いわば片手にコーラン、片手にドル札を持って内政外交の際どいバランスをとってきたのだ。しかし従来は有効だった手法も、イスラーム国誕生や環境問題など新情勢出現をサウジ政府も認識し時代に適応しようと苦しんでいる。巨大産油国の行く末を考える上での前提条件を理解するための必読書。2021/12/31
skunk_c
68
あとがきに「のぞみが東京=新大阪間を往復する間に読める」とあるように、200ページほどの行間広めでサクッと読める。神学博士らしくイスラーム、とりわけワッハーブ派の解説がしっかりしており、欧米とは異なるサウジ独特の政教分離システムをすっきり説明してある。また「イスラーム国」やムスリム同胞団の説明も端的でわかりやすい。一方外交については触る程度。特にイエメン侵攻や対岸のイランとの対立については非常に物足りない。また現皇太子の開明的な面のみ強調して評価することには疑問も。やはりサウジ大使館勤務が制約なのかな。2021/12/30
南北
46
サウジアラビアは果たして「イスラーム世界の盟主」と言えるのかを考えながら読んだ。北朝鮮ですら「金家の朝鮮」とは言わないのに「サウード家のアラビア」を意味する国名を称するのはある意味すごいことだと思う。メッカとメディナを国内に要する南西アジアではイランと並ぶ大国だとは思うが、良い点ばかりを取り上げているような気がした。2018年のカショギ氏暗殺の手際の悪さやウクライナ事変に関して(ロシア産原油を下げさせるため)サウジアラビアに増産を依頼したアメリカの意向を無視し、減産を決めた姿勢などを見ても疑問に感じる。2023/01/24
シリウスへ行きたい
33
サウジラビア、いまだに砂漠の中で白い民族衣装を着た、昔ながら王国を想わせる。石油で膨大な資産を持ち、いまだに王族の一部の権力者が実権を握っている。西欧風の民主主義国家ではないが、米欧とて、理想的な民主主義ではない。資本主義による勝ち組が昔から継続している人々と繋がり、金も権力も握っている。わが日本も同じだ。戦争に敗れても、天皇を中心とする上級国民が権力を持ち、それを取り巻く財閥の成れの果てが実権を掌握している。一見、民主的ではあるが、実際、貧乏人の子は貧乏人である、仮に才能に恵まれても、収入も地位も低い。2022/01/24
Tomoichi
22
普段本屋さんの新書棚にあれば手に取らない本もブックオフなら安いし買うかとなる時がある。本書もそんな一冊で期待と言うか、そういう何かもなく購入。しかし当たりでした。以外に若いこの国の歴史、政治と宗教の関係、そして1番不思議であったアメリカとの関係が分かりやすく説明される。私は国家や組織は、その創業者や創業期のスタイルがその後の後継者達に影響し、その企業や後継者の行く末を予測するには、先ず創業社長と思っている。サウジアラビアも間違いなくその影響を受けている。2026/01/31
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