近代華族動物学者列伝

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近代華族動物学者列伝

  • 著者名:保科英人
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  • 勁草書房(2022/01発売)
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  • ISBN:9784326750580

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内容説明

“鳥の公爵”鷹司信輔、蜂須賀線の蜂須賀正氏侯爵、博物館建設の父・田中芳男男爵らを筆頭に、華族たちは趣味的といわれる動物学を発展させていった。同時に彼らは帝国議会議員であり、本議会等の議事録に貴重な肉声資料が残る。これまで見過ごされがちだった議会発言に着目し、知られざる「華族動物学者」たちの実態を明らかにする。

目次

序 章 華族と華族動物学者たち
 1 華族制度と華族学者たち
 2 爵位と経済力
 3 帝国議会議員の華族動物学者たち
 4 華族履歴と参議院所蔵の議員履歴書
 5 帝国議会議事録から読み取れるもの:憲政史上初の乱闘議会を例にして
 6 華族動物学者議員は帝国議会で何を語ったのか?

第一章 「蟲好きでは錚々たるもの」といわれた有力政治家――三島弥太郎
 1 経歴
 2 貴族院の会派と研究会:貴族院有力議員となった背景
 3 三島弥太郎の手紙
 4 理系思考が垣間見えた馬匹去勢法案
 5 呼ばれてもいないのに、蠶病豫防法案の特別委員会にわざわざ出向く
 6 虫好きではあるが、具体的なエピソードを欠く
 7 裏方として害獣防除研究を支援

第二章 帝国議会に籍を置くのが遅すぎた鳥類学者――黒田長禮
 1 鳥類学者黒田の略歴
 2 華族履歴に見る経歴
 3 黒田が会った“高千穂宮司”とは誰のことか?
 4 父長成とはあえて別の会派に所属す
 5 帝国議会では徹底して口を閉ざす
 6 トンボ採集禁止を求める珍請願
 7 国立公園設置を求める請願に見解示さず
 8 原爆をめぐる請願:戦後帝国議会での態度
 9 貴族院入りは遅すぎたか

第三章 “典型的な”鳥類学者議員――蜂須賀正氏
 1 略歴
 2 参議院所蔵の履歴書
 3 虫屋視点で見ると、最も“典型的な”鳥類学者
 4 議会のサボリ癖
 5 委員会では最低限しか口を開かず
 6 自然史博物館建設請願にも沈黙を貫く
 7 結論、貴族院議員としてのやる気はカケラもなし。学者議員の典型か?

第四章 マングース導入に警鐘を鳴らした先見の明――中川久知
 1 経歴
 2 外来種マングースの導入に警鐘を鳴らす
 3 中川久知ゆかりのチョウの標本が福岡県英彦山で発見される
 4 華族動物学者としては例外的な衆議院議員
 5 当選に至る経緯
 6 帝国議会にて
 7 同時代人からの評価

第五章 人柄を買われた“鳥の公爵”――鷹司信輔
 1 略歴
 2 世間から議長候補と目された貴族院の重鎮
 3 貴族院委員会では鳥類学者としての専門知識をほとんどいかせず
 4 議会では基本ベンチウォーマー
 5 国立公園法案特別委員会に選ばれながらも……
 6 あわや物理学者田中館愛橘との論戦勃発寸前に!
 7 戦争への協力
 8 ほぼ唯一の自主的な演説か?「国立自然科学研究施設を充実させよ」
 9 戦後の帝国議会における姿勢
 10 温厚篤実な人柄が買われたか?

第六章 国立自然史博物館建設を訴えた博物学者――高千穂宣麿
 1 経歴(一):明治一六年、英彦山神社宮司となるまで
 2 経歴(二):東京遊学を志す
 3 経歴(三):英彦山脱出計画
 4 経歴(四):仮病でサボって虫捕りをした最初の日本人?
 5 経歴(五):二回目の英彦山脱出計画
 6 経歴(六):私立昆虫学研究所の設立
 7 経歴(七):ついに念願の貴族院議員へ
 8 経歴(八):貴族院議員選挙の落選と再当選
 9 経歴(九):貴族院議員選挙の再度の落選と英彦山への帰還
 10 帝国議会での姿勢:国立公園利権への警戒
 11 帝国議会での主張:若手研究者に然るべきポストを与えよ!
 12 国立自然史博物館を有して帝国は初めて一等国となれり
 13 最晩年
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

中将(予備役)

2
貴族院議事録中の「生」の発言を中心に、動物学者だった華族の姿に迫った列伝。他にない着目点で、議会慣行に照らして正確か若干疑問の残る点もあるものの、大変面白かった。富裕な華族ばかりではないが、当時の研究の裾野の広さを感じた。終章に言及もあるが、貴族蒐集家が生まれる前に華族制度が無くなってしまったのは惜しい。議会関係の活動を中心に据えるため、残念ながら山階侯の章はない。(「...慣行への理解は若干疑問も残る内容ながら、」としていましたが、言い過ぎなので訂正いたしました。)2021/12/30

深窓

1
動物学者として実績を上げた華族の伝記集。学術上の貢献ではなく貴族院議員としての活動実績について取り上げている。侯爵以上の強制的に無給議員にさせられた各人は自身が知見を持つ分野の法案審議でさえ積極的に関わろうとしない。一方で、伯爵以下の貧乏華族は議員報酬を求めて選挙活動に熱心に取り組むなど、華族間のスタンスの違いは興味深かった。2021/11/14

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