内容説明
この「旅」は世界を救う？ 滅ぼす？
第12回講談社ラノベ文庫新人賞《優秀賞》受賞
魔王とはお姫様をさらい、勇者によって倒されるもの。それは誰が決めたわけでもない、古くからのお約束。
だが、それに真っ向から逆らうお姫様が一人。シャルラハート・エル・ウェルム。銀髪の三つ編みをなびかせる、小国ウェルムの若き第一公女だ。
彼女は逆に魔王を脅迫し、誘拐して連れ回す。すべては故国のため、ひいては世界平和のために。
しかし、予想外に従順で素直な魔王と行動を共にしているうちに、徐々に彼女の心には迷いが生まれ始めて――
第12回講談社ラノベ文庫新人賞《優秀賞》受賞。
気の強いお姫様と穏やかな少年魔王の旅路の果てに待つのは望んだ通りの世界平和か、
それとも――
※電子書籍には特典として、有坂紅先生書き下ろしＳＳを収録！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nishiyan
14
百年に一度、闘争と美姫を好む魔王が誕生する世界。男勝りな公女シャルがなぜか美姫のみを求める少年魔王黒曜ことニクスを世界平和のために誘拐することから始まる物語。この旅は様々な出会いと別れを繰り返しながら、二人にとって世界を知るものでもあるのだが、やがてニクスを警戒していたシャルが純真無垢でありながら魔王としての能力に忠実な彼に徐々にほだされていく展開は心地よい。彼の存在が「欲望とは」を揺さぶるのもまた面白い。旅の果てにシャルが下した決断は微笑ましく、二人ともお幸せにと願いたくなる素敵な読後感だった。2022/02/21
ホシナーたかはし
11
あまり期待はしていなかったのですが、予想以上に面白く読めました。「勇者」が職業ではなく偉業を成し遂げたものとして存在しているところ、水浴びから風呂にいたるまで入浴に関して妙に力が入っているにもかかわらず、サービスシーンが少ないところが特に面白かったです。2022/02/08
かっぱ
10
100年に一度魔王が誕生する世界を舞台に行動力に富んだ豪快な姫がまだ幼体で純朴な魔王を世界のために誘拐する所から始まる物語。想像していた物語とは良い意味で違っていて、姫と魔王が共に旅する中で色んな景色に触れることで変わりゆく関係性が愛しかった。どこか男勝りで警戒心も強いシャルが魔王であるニクスに少しずつ心を開いて愛着を覚えていく流れは強い女性として好感が持てる。ただ細かい点では消化不良気味になる点も散見されたのでそこは勿体ない2022/02/08
サキイカスルメ
9
侵略ではなく姫をただ求める少年魔王ニクスと、世界のために魔王を攫った勇ましいお姫様シャルの旅ファンタジー。強いお姉さんは好きですか？勇ましい姫様主人公シャルが好きです。最初は敵だと警戒してるのに、少しずつ絆されちゃう優しさもよかった。魔王ニクスは、無垢な子どものようなところも多くて可愛らしかったです。彼の姫（女性）至上主義っぷりは、狂気じみていて魔王っぽさを感じましたね。なぜ魔王と勇者は世界のシステムのように存在しているのか、根本的な謎がたくさん残されてるので、今後のお話も読んでみたいです。2022/02/04
リク@ぼっち党員
7
純粋無垢な魔王と行動力に溢れた姫様の旅路。肩書ばかりを気にして中身を見ないというのは人間特有かもしれない。魔王というだけでコミュニケーションを拒絶されていたニクス。シャルが魔王ではないただのニクスと行動をともにすることで徐々に人となりを知り警戒心を解いていく。ニクスも旅の中で人々に触れ、人々の営みについて理解していくというのがよかった。恐れて遠ざけているだけじゃあ理解からは程遠い。結局、理解のためには時間を積み重ねていくしかない。世界平和のために、二人の旅路に幸あらんことを。2022/02/06
