内容説明
地球全体の海の底を、冷たい水が2千年かけて循環しています。この水は地球全体の気温や降水、さまざまな気象現象に密接に関わっています。温暖化で極域の氷が溶けると、海水位の上昇だけでなく、海洋の循環も止まってしまう可能性があり、そうなると地球規模の気候変動が起きてしまいます。
本書は、深層水の循環の仕組みや今後起こりうる環境変化について、循環の動力源である南極海にスポットを当てて解説します。
目次
●Chapter.1 南極海ダイナミクスって何?
●Chapter.2 極域で起きている異変
●Chapter.3 海洋循環のメカニズムにせまる!
●Chapter.4 極域の「氷」からわかること
●Chapter.5 気候システムのダイナミクス
●Chapter.6 南極海を調査する技術
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なーちゃま
1
水は4度で最も密度が低くなるが、塩を含む水は温度が低いほど重くなり、下に落ちていく。そうして沈みこんだ水が2000年をかけて地球の底を循環し、高緯度なのに温暖なヨーロッパを作ったり、停滞して気候を変化させたりしている。極域は最も気候変動の影響を受けやすく、南極ではそこまでの変化が見られていないものの、北極の氷は溶けたり減ったりしている。海面上昇は、氷が解けたことに起源するものと、熱の吸収による膨張が起源のものもある。熱塩循環について読む目的で手に取ったが、海のダイナミクスが概観でき読んでよかった。2020/09/14