小学館文庫<br> モーツァルトを聴く人

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小学館文庫
モーツァルトを聴く人

  • ISBN:9784094071054

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内容説明

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詩は音楽に恋してる。

収録作品は以下の通り。第一章「モーツァルトを聴く人」(1995年/小学館刊)19篇。
第二章「絵本・ピアノのすきな王さま」架空の国を舞台にした「音楽」がテーマの傑作絵本(谷川+堀内コンビによる未刊行の作品/初出は、1981年。ヤマハが愛好家向けに配布した「ピアノ小読本」に収録された幻の絵本作品カラー32ページ)
第三章「谷川俊太郎・音楽詩選」モーツァルトと音楽をめぐる名詩27篇(うち、二篇書き下し=「急がないモーツァルト」「いい天気」)。書き下しの一篇は以下の通り。
    *

急がないモーツァルト

石畳の道に足音が響く/姿は見えないがモーツァルトだ/
嬉しいことがあったのだろう/歩きに笑いがひそんでいる

建物から女が出て来る/慇懃に挨拶してすれちがう/
短い旋律が生まれかけたが/すぐ小さなつむじ風に紛れる

永遠が日々の暮らしに微笑みかける/楽しみは哀しみに気づいている/
ピアノの黒鍵と白鍵が/黒白を問わない和音を生む

休止符に宿る人の心は/世界の喧騒を許している/
地球が今日も自転している/モーツァルトは立ち止まらない


このオリジナル文庫は『音楽の肖像』の続篇として構想された。本文中に新発見の堀内誠一によるカット十数点も収録。40年の時を経て原画が発見された幻の傑作絵本をオールカラーで収録。2022年1月から全国各地で堀内誠一展開催される予定。

※この作品はカラーが含まれます。

(底本 2022年1月発行作品)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

70
久しぶりに読む谷川さんの本は、詩で音楽を語る試み。そしてあふれるばかりの人生と社会の苦さが効いていた。かつての谷川さんの作品は、苦みはあっても、どこかに若さ青春らしさを感じさせた。歳月の進行だろうか、それとも世の中が険悪になったのか、作品を読んでいて思わずうなるほど、詩による批評か、抗議であると思わせる。それでいて若き日の作品と同じ言葉づかいが感じられるのは、見事な個性というほかない。中でも長編の「問いと満足」は圧巻。音楽を言葉で表すという不可能にみえる試みが、達成されたと感じられる作品も確かにある。2022/02/01

こまり

34
とても良かった。モーツァルトの楽曲にちなんだ詩が綴られている。中に[ピアノのすきなおうさま]という絵本がカラーで収録されていてそれがまた良い。 「今此処の私のために」「コーダ」が今はしみる。谷川さんの音楽と詩の世界に浸った。時々読みたい。モーツァルトは父が好きでずっと聴いていたのをふと思い出した。2022/04/26

クラムボン

16
1995年に刊行された詩集「モーツァルトを聴く人」19篇を文庫化するにあたり、新たに堀内誠一との共作絵本「ピアノのすきな王さま」を加えた…ここまでは、とても素晴らしい作品集だと思う。 ただ、編集部が今までの詩集から「音楽ふたたび」と題して24篇を加えるのだが…これには難ありと言いたい。音楽とモーツァルトにちなんだ作品を選んだとのことだが、一連の「モーツァルトを聴く人」に比べると、どうしても寄せ集め感は否めなかった。2024/08/11

ryohjin

11
モーツァルトの旋律がまとう孤独や悲しみが、詩人の紡ぎだす言葉たちと、静かに響きあっているように感じます。『音楽のようになりたい』と願う言葉に心動かされました。2022/04/27

くろうさぎ

10
未刊行の絵本目当てに手にした一冊。前半は雰囲気も暗く難解でした。絵本の王様は最後はひとりぼっちだけど、とても自由。詩は後半の方が読みやすかった。2024/04/22

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