内容説明
神々がシーシュポスに科した刑罰は大岩を山頂に押しあげる仕事だった。だが、やっと難所を越したと思うと大岩は突然はね返り、まっさかさまに転がり落ちてしまう。――本書はこのギリシア神話に寓してその根本思想である“不条理の哲学”を理論的に展開追究したもので、カミュの他の作品ならびに彼の自由の証人としてのさまざまな発言を根底的に支えている立場が明らかにされている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
170
代表的な実存哲学の主題を借りながら自殺、愛、演技、征服、創造など様々な角度で不条理の感性を試論。著者は頑強な姿勢と不断の緊張を貫きながら、不条理を意識した上での人間的反抗による自由を示唆する。不条理と幸福は引き離せない兄弟であり、余す事なく汲み尽くせと。自殺論など時にロマンティックな飛躍も見せて、若々しい熱弁や表題作に人間への抑え難い愛情が抒情的に顕現している。『異邦人』の解題や『王国と追放』に繋がる「現在時」の観念など作品の架け橋としても重要作。文学論考はドストエフスキーよりカフカの方が性に合ってそう。2022/06/07
優希
112
万物の生存に対し、不条理という理論を意識したとき、どのような考えを持つかが述べられていました。不条理を徹底して追及することはカミュの作品の存在意義の根底的な側面を見せていると思います。世界は不条理により成り立ち、個人と社会を切り離すことは不可能だというのがカミュの考え方の真髄であることが明らかにされていました。哲学者が見てこなかったこの世界の闇の部分に切り込んだ評論として有意義でしょう。2016/07/05
ehirano1
96
ひょっとしたら読メにも登録済みかも知れませんが、今回改めて再読してみて『不条理を「受け入れろ」という解釈は誤りで、 カミュ自身が「不条理は受け入れるものではない」と明言している。 不条理は事実だが、肯定すべきではない。』に衝撃を受けました。つまり、『カミュは“不条理を受け入れろ”とは一度も言っていない。 むしろそれを「誤った態度」として明確に否定していました。不条理は事実だが、肯定すべきではない。 「反抗」しながら生きることが人間の尊厳である。』とのこと(コメントへ続く)。2026/07/17
こなな
75
不条理について考察した哲学的な論考。真に哲学的な問題は一つしかない。それは自殺だと。形而上学への方法(逃避)は「哲学的自殺」死についての感情は黙契の上に成り立っている。死は至高の誤謬だ。主題は、あらゆる文学、あらゆる哲学をつらぬいて流れている。毎日毎日の会話がそれを養いの糧としている。人間は明晰さへの本能的欲求が不条理に行き着くのである。「太陽」の苛烈な能動性に対し、いわば受動性において同じ機能を果すのが「海」である。人間自体が人間の目的である。つねに<自分に打ち克つ>ということを意味している。2025/03/24
nakanaka
75
難しい…。なんとか読みきったものの内容を理解できたとは言えないなぁ。読みきることが苦行のようだった…。圧倒的に知識が足りていないことを実感した読書だった。いつか再チャレンジしたい。2020/01/03
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