内容説明
「初夏の青空を背景にしたオオムラサキの荘厳な飛翔があれば、それだけで世界は完全だった。イチジクの木の葉にキボシカミキリの銀河のような黄色の斑点模様を発見すれば、もうその日の幸福は約束された」。昆虫を追い求める至福の時間――。南米などで精力的に活動をつづける文化人類学者が書いた、自らの原体験ともいうべき昆虫との出会いから、未知なる生命の世界へといざなってくれた14人の師への架空の手紙。
目次
ジガバチの教え──アンリ・ファーブル先生へ
カスリタテハの幻影──チャールズ・ダーウィン先生へ
クジャクヤママユの哀しみ──ヘルマン・ヘッセ先生へ
ギンヤンマの音楽──志賀夘助先生へ
オオカマキリの祈り──得田之久先生へ
聖タマオシコガネの無心──北杜夫先生へ
クモマベニヒカゲの挽歌──田淵行男先生へ
ギフチョウの沈黙──名和靖先生へ
ユスリカの呪文──手塚治虫先生へ
スズメガの貪欲──ヨリス・ホフナーヘル先生へ
ウスバシロチョウの自伝──ウラジーミル・ナボコフ先生へ
コノハチョウの共同体──五十嵐邁先生へ
ハンミョウの流浪──安部公房先生へ
イツパパロトルの聖樹──ドン・リーノ先生へ
ツマムラサキマダラの青い希望──読者へ
巻末・本書に登場する昆虫たち
本書に登場する先生たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toshi
18
日経の書評本。「ぼくの昆虫学の事始めは,ファーブル先生にうながされた、砂地の草叢にジガバチの巣を探す冒険でした。」なんと素敵な一文!著者から14名の「虫の巨人」に宛てた手紙の形で、巨人たちの功績と、自らの虫歴を交差させていく。また出会いたい虫と、旅と、本が増えてしまった。2021/09/20
ぱせり
4
14人の先生たちへの手紙は、昆虫を追う少年の日記(自伝?)のようでもあり、眩しい過去の日々の照り返しのようだ。それは大らかな祈りへと続いていく。(14人の先生たちへの手紙のうち、最後の手紙が、メキシコ山岳地帯の呪術医ドン・リーノへの手紙である、ということは、きっとこの一冊の本が祈りそのものだから)2022/01/23
Go Extreme
3
ジガバチの教え―アンリ・ファーブル先生 カスリタテハの幻影―チャールズ・ダーウィン先生 クジャクヤママユの哀しみ―ヘルマン・ヘッセ先生 ギンヤンマの音楽―志賀夘助先生 オオカマキリの祈り―得田之久先生 聖タマオシコガネの無心―北杜夫先生 クモマベニヒカゲの挽歌―田淵行男先生 ギフチョウの沈黙―名和靖先生 ユスリカの呪文―手塚治虫先生 スズメガの貪欲―ヨリス・ホフナーヘル先生 ウスバシロチョウの自伝―ウラジーミル・ナボコフ先生 コノハチョウの共同体―五十嵐先生 ハンミョウの流浪―安部公房先生2021/08/29
Yasuyuki Kobayashi
2
著者が昆虫学に親しむ始祖となった 先人たちへ送る架空の手紙形式をとった 虫や蝶や昆虫学へのラブレター。 読んでよかった❗️2021/10/06
mick
1
著者が影響された師へむけた手紙の形で綴られる。昆虫の話が中心だが、それだけにとどまらない。安倍公房も読み直したいと思った。昆虫は子供の頃から興味があっていまも好きでいれば観察するが、絵が描けない。自らの手で描けたらたのしいだろうなあ。2021/09/10
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