文春文庫<br> 跳ぶ男

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文春文庫
跳ぶ男

  • 著者名:青山文平【著】
  • 価格 ¥800(本体¥728)
  • 文藝春秋(2022/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167918118

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内容説明

切り立った岩の上で独り稽古を積む、藤戸藩お抱えの道具役(能役者)の長男・屋島剛。15歳の剛は、急逝した藩主の身代わりとして江戸城に送り込まれた。「能」を使った秘策によって、貧しい藩は生き延びることができるのか。
藩の命運を握った剛は、「想いも寄らぬことをする」決意をした――。

天保年間の土地も金もない弱小藩を舞台に、ひとりの少年武家が辿る過酷な運命が、圧倒的リアリティを通して描かれる。
謎と謀(はかりごと)、美と畏れ。研ぎ澄まされた文章と壮大なる謎、唯一無二の武家小説!

「弱冠十五歳の少年が、柳営の棟梁たる将軍に対して、己の能の技量のみを武器に文字通り徒手空拳で命がけの闘いを挑む。しかも与えられた期間は、わずか七ヶ月しかない。これぞまさにミッション・インポッシブル 」 
――川出正樹 (解説より)

※この電子書籍は2019年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Y.yamabuki

23
藩のお抱え能役者の長男、剛は藩主の身代わりとして江戸に入る。能を手段に「あの御方」(将軍)に近付き、果たしてどうやって藩の内政を豊かにするのだろうか?と訝っていたら、まさかの衝撃の手段に息を飲む。最後の究極の決断。見事なストーリー(計画)を美しくやり遂げる。胸を打つラストに何とも言えない余韻が残る。終盤、剛は友の保の言葉「能はやさしい」の意味を理解する。「…生きとして生けるものへの、尽きることのない肯定。それが能を能にしている」難しい、難しいけれどほんの少し能が分かった気がした。今度じっくり観てみたい。2022/05/10

tomoka

9
能の知識は皆無のなか読み始め、途中、能についてググりながら読み終わりました。青山さんの文体が好きで『この言い回しが好き、ここの表現がいい』って思うところがたくさんありました。文中何度も出てくる「要る話をするときは要らぬ話から入る」これも妙に腑に落ちる表現で好きです。2023/01/11

coldsurgeon

8
能という洗練された、研ぎ澄まされた美を追求する芸術を背景に、とても奇抜なはかりごとの顛末を記した物語である。江戸末期、小国の下級武士の息子と生まれ、能を舞うことを生業とする少年が、藩主の身代わりとなり、小藩の命脈を保ち、力を蓄えさせようと画策する奇抜なストーリー。藩主の付き合い、能の舞われる仕組みなど示され、興味深く、楽しく読むことができた。所作の美しさは、能を舞うためにあったのかもしれない。能を美しく舞うために、舞台と日々の暮らしに境目があってはならz、美しく居ることが求められたことから類推できる。2022/03/02

かーな

5
能についてまったく知識がないのですが、最近犬王というアニメーション映画のを観たのとつながって多少イメージできて大変面白く思いました。 最後は泣き…ですよね2023/11/16

うーちゃん

5
藤沢周平は駄作がないことで有名だったが、青山文平は藤沢以上に駄作がないうえに、新作ごとに新たな分野に挑戦している。今回の新分野とは舞台芸能としての「能」で、能のことを詳しく研究しているのがよく分かる。あえて不満を言えば、私が無知のせいで膨大な情報を処理できず、ついて行けないところが散見された。もう少し咀嚼して欲しかったとは思うものの、これだけハイレベルで面白い時代小説を読ませてもらったのだから文句は言えまい。最後の一節が特に見事で、書かれていない未来がどうなるのかが見え、安堵と悲しみに同時に襲われた。2022/08/30

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