内容説明
厭世死、生命保険に関わる死、過労自殺、いじめ自殺という4つの事例をもとに、20世紀初頭から現在までの自殺と社会をめぐる語りを跡づける。それを通して、遺族の悲嘆をよそに、自殺を能弁に語ってしまう日本社会の歴史的な屈曲を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
8
副題にある「意志」に注目した自殺の語られ方の変容を分析している。私としては、2章のいわゆる保険金目当ての自殺がいつ登場し、保険金目当ての自殺が建前としてはタブーであるにもかかわらず、期限を定めることで実際には保険金が支払われていること、そして4章のいじめ自殺における「いじめ」と「自殺」の因果関係を裁判所がどう判断したか、が特に面白かった。2020/03/11
アン
4
あくまで自殺に対する「対応」を追った本。題名からもう少し哲学的な議論をかませた社会学的内容を予想していたので読み終えた時に少し落胆した。2019/11/30
たろーたん
3
自殺の意味付けに対する変遷。自分の意志による自殺(厭世自殺)から、強制された自殺(過労自殺、いじめ自殺)への変化。自殺をめぐる社会的言説では、自分の意志で行う自殺は少なくなり、むしろ環境的な要因から自殺を選ばされるような自殺が増えている。個人的な感想だが、人間の死が、どう有意味かされ、解釈されていくのかミクロにみるのも面白いかもしれない。 「意味のない死は多いが、意味のない自殺はない」エドウィン・S・シュナイドマン2019/02/17
犬養三千代
2
自殺という悲劇 なのだろうか?生命保険と自殺の関連の部分は理解か深まった。自殺予見 子どものいじめによる自殺については 疑問符が残った。判例への道筋がぢ、十分ではないことは解る。命の値段はやはりある。電通の男性が一億六千八百万円。子どもは0か数百万円裁判ってそんなもん、司法の論理形成は 人を平等には扱わない❗2017/03/08
げんさん
1
過労自殺が「自らの意志で死を選んだのではない、精神障害によって自殺させられたのだ」という理屈で原告側が一審で全面勝訴となる。 サブタイトルの「意志」のゆくえの意味は深い。2022/05/17




