内容説明
がんで余命半年と宣告されたヤミ金業のマキ子。落ちぶれた取り立て屋の乾。陸上部のエース阿久津先輩に憧れる高校生の結。生まれてから車椅子の生活しか知らない身体の不自由な博。それぞれの運命が絡み合ったとき、人生は思いがけない方向へ……。2017年『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞した著者が、底辺で生きる人間たちの業と、不思議な縁を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
151
宇佐美作品、4作目。これも面白かった。なんだろ、どんな辛い人生でも決して諦めるなといったメッセージ作品なのか。それと、これも言葉にしちゃうとなんだけど、息子を思う母の無償の愛。これを宇佐美作品のベストにあげる人の気持ちもわかる気がする。ファンタジー要素もありで、この手の流れは、はまるときにはきっちりと自分の感情にはまってしまう。宇佐美作品の追っかけ継続します♪2022/03/12
ケイト
72
冒頭女が男を刺すシーン、これは絶対ツカミだ。「ウーピーパーピーの木の下に埋める」このおまじないが人生をリセットする?あ〜もうダメだ、先が気になる。マキ子は個人ヤミ金の経営者、乾はそこの従業員。マキ子の壮絶すぎる過去、でももうすぐ命の灯火が消える。乾は荒んだ生活を送りながら、欺き通した過去に何を思うのか?二人ともお金に翻弄された人生を悔やんでいるのか?今からでもやり直せる、やり直したい。その気持ちに突き動かさされた時、女子高生・リョウ(桜の君)・車椅子の男が繋がった。あーーウサミンマジック!やられた〜(涙)2022/02/15
おいしゃん
26
社会の底で這うように生きている登場人物たちの描写がリアルがために、元気が出ない時に読んでしまったら、つられてとんでもない気持ちになった。2022/04/01
くるぶしふくらはぎ
23
女性が男性を刺殺した最初の事件、女性が「ウーピーパーピーの木の下に埋めた」と息子に伝えて欲しいと女子高生に頼み、その女子高生が事故死。一転、闇金融業の女社長マキ子と従業員の乾の物語が始まる。一体最初の話はどうなったの?と気になりながら、マキ子、乾のそれぞれの人生に引き込まれる。自分の人生を車椅子の青年に怒りをぶつけるかのように語るマキ子。転落人生を歩み自暴自棄になっている乾が、出会ったばかりのリョウに心を溶かされていく。最後に全ての人たちの繋がりが明らかに。不思議な物語だった。2022/03/08
Hugo Grove
13
読了。見事につながっていた。2022/03/06