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内容説明
人類の進化か終焉か?
念じるだけで意思を伝えることができる――。そんなSFのような技術が現実になりつつある。
脳科学とITを融合させた「ブレインテック」への投資が、世界各地で指数関数的に高まっているのだ。
2021年4月には、米ニューラリンクが、脳波でゲームを操るサルの実験動画を公開し世界に衝撃を与えた。
スタンフォード大学は手足が麻痺した男性の脳にデバイスを埋め込み、1分間で90文字の入力に成功している。
AIと競合していく時代に入った現在、この技術は人類の救いの手となるのか?
国内外で加速する研究の最前線から、医療やマーケティングへの応用事例、法的・倫理的な問題点までを解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
83
軍事研究は科学技術の発展を促してきたが、脳科学とITの結合となると不気味さが漂ってくる。頭脳と機械の融合やテレパシーなどはSF作品の定番として面白く読んできたのに、いざ現実となると思考領域まで他者に支配されるのではと怖くなるのだ。今はまだ障碍者の意思疎通や肢体欠損者の代替機能開発が目的とされるが、ダイナマイトをはじめ「人や社会のため」作り出された製品が戦争や金儲けに転用された例は数えきれない。残念だが今後数十年以内に本書が取り上げた脳関連の技術は人殺しに使われよう。それを止める知恵は人類にはないのだから。2022/02/23
奈良 楓
18
【良かった】● 主に、脳に対する侵襲(脳への直接接続)/非侵襲によるデバイスでの機器操作など、配慮のない言い方ですがサイボーグ化の話、など。 ● AI技術の進展も、ブレインテックの発展に寄与している模様です。 ● 最終章で触れていた機械学習の限界が興味深かったです。人間と機械の学習の違いの一つは「好奇心」らしい。 ● 軍を抱える国の本気度は一段違う。2022/02/02
ロア
17
結局は戦争のため。戦争で儲ける人たちのため。医療に限らず、新しい技術には必ず負の側面も伴う。広い視野でみればプラマイゼロどころかマイナスにしかならないことでも、開発者は実現させることしか考えていない。人間がすべてをコントロールすることなど不可能なのに、自ら問題を作り出してばかり。「医療の発展に大きく貢献!困っている患者を救う!」と言えば誰も反論できないのをいいことに、革新=善と単純に考える。新しい何かでどうにかしようとするよりも、人類の根本的な存在の仕方をどうにかしようよ! 2021/11/28
スターライト
8
機械と脳を「接続」し、双方で情報を直接やりとりする技術BMIが近年急速に開発が進み、それに参入する企業・研究機関が増えているらしい。その歴史と現時点での様子をコンパクトにまとめた書。もっぱら病気や事故で四肢の一部を失ったり脳神経の損傷などで体の自由が利かなくなった人たちへの補助的な試みが紹介されているが、その延長にある人間の感情の操作やプライバシーの問題も指摘し、一筋縄ではいかない現状をリポートしている。ギブスン『ニューロマンサー』を引き合いに出すのはびっくりしたが、できればイーガンへの言及も欲しかった。2021/10/27
Go Extreme
5
脳と機械を融合させる―BMIあるいはブレインテックの夜明け:基礎研究から商用化の段階に お騒がせの天才起業家が描く新たな夢 脳から心を探り操る科学の最前線:脳科学の発達を促した20世紀の電気・電子技術 「傷」の痛みも「失恋」の痛みも脳の中では同じ ブレイテック・ビジネスの光と影:投資関係者の間で高まる期待 脳波でゲームを操作する意義とは 身体性の拡張と強制的進化の未来―ブレインテックは人類がAIに勝つ最後の手段なのか?:現実世界で行なわれたSFのような実験 DARPAとは何か2021/11/07