内容説明
「語らざるべし、聞かざるべし」。大手レトルト食品メーカーの社長、淡路剛造が自宅の浴室で何者かに殺害された。殺害前、彼の自宅前では怪しげな遍路の姿が目撃されており、剛造の娘の婚約者の元には、幽海上人の生まれ変わりを名乗る謎の男から剛造が過去に起こした罪を裁くという怪電話がかかってきていた。彼が犯した罪とは何なのか。事件を追ううち、彼の故郷の村で起きたある母娘の失踪事件、更には湯殿山麓の寺の奇妙な戒律が浮かび上がり……?角川小説賞受賞の本格推理小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やも
81
正統派で真面目なホラーミステリーってカンジ。東京でお遍路さんの幻を見た成田さん。さらには幽海上人(180年前に即身仏になった人)を名乗る怪電話…。投げ込まれたミイラの指…。東京で起きた密室殺人がどうやら出羽三山と関わりがあるらしい。誰の恨み?なんのために😰?面白かったんだけど、所々でちょっと信仰心が強くて…だってミイラとかさ…ミイラになるまでの経緯とかさ…え、私こんな歴史があった所で暮らしてるの🥲?どこまで本当🥲?おどろおどろしいオーラが終始ぷんぷん🥲知ってる地名出てきたのは面白かった!★3.52022/07/12
goro@80.7
43
湯殿山が舞台となるのはラスト近く。木乃伊の話はよく分かった。2023/04/24
のびすけ
24
角川映画全盛期に映画化された本作。新装版の発行を期に読んでみた。出羽三山の即身仏信仰と、湯殿山麓の寺に封印された僧侶のミイラ。現代の東京で起きた殺人事件、謎の白装束の男、ミイラの指。事件に関わる人たちの複雑な人間関係と、33年前のある事件…。怪しげな物語の背景と不気味さの演出は期待どおり。ただ、物語の大半は事件が起きた東京だったのが少し残念といえば残念。舞台が湯殿山麓に移ってからの第二の事件、ミイラの発掘調査、謎解きと意外な犯人、悲しい結末までの怒涛の展開はなかなかの読み応えだった。2022/05/10
mahiro
21
山深く閉ざされた山岳信仰の村の殺人事件…と思ったが事件の起きたのは東京で少しがっかり、読んでみると最近の作ではなく結構昔の作品だった。高度経済成長になり始めの昭和時代、成り上がり富豪の食品会社社長の殺人事件、それに即身成仏の仏の村の因縁などが絡み、古い香りで一杯だったがなかなか面白かった。でも登場人物達が類型的であまり魅力がなく、ご都合主義的な偶然の出会いもあり…という感じでした。しかし出羽三山は心をつかむ神秘的な場所だし、即身成仏の上人様も昔拝観した事があり、題名に釣られてしまいました。2022/01/07
ドットジェピー
6
面白かったです2021/12/25