内容説明
破格の作家たちを軸に、浮世絵からマンガまでを一望する新・日本美術史!
浮世絵から新版画、そしてイラストレーション、マンガまで。商業美術こそが、日本美術の伝統を継承し、次代の表現を生み出す原動力となってきた。河鍋暁斎、小村雪岱、渡辺省亭、横尾忠則、つげ義春……。従来の日本美術史の枠をはみ出した破格の才能をオールカラーで紹介するとともに、彼らが近年注目を集める理由を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
若冲・蕭白・芦雪は、辻惟雄先生が再発見しなければ、私たちは出会えてなかったかもしれないように、辻先生の弟子である山下裕二先生は、「商業美術」として一ランク下に置かれて軽視されてきた作品を現代に蘇らせようとしている。その象徴が、昨年の渡辺省亭や古村雪岱の展覧会である。本書は、日本画の伝統が、明治以降、挿絵・新版画・イラストなどの商業美術として花開いた様子が、カラー図版とともに紹介されていてとても楽しい。作家の名前や美術史という物差しではなく、徹頭徹尾、自分の眼で作品と真摯に向き合う姿勢の大切さを教えられる。2022/02/26
パトラッシュ
105
明治以降の日本美術史で商業美術家とされた作家は、権威や序列を重視する画壇から不当に貶められてきた。大衆に愛され広く売れたのを俗物的な職人芸とみなし、自分たちこそアカデミックだと信じ込ませたのだ。しかし商業美術の代表たる浮世絵や漫画が世界に及ぼした影響に比べ、自称主流派画家の国際的評価は比較するのが無理なほど低い。日本人の心性に深く根差した美意識を描いた暁斎に華宵、省亭や雪岱、深水らが現代デザインやイラストの源流となった。美術を名前で評価する愚かさを痛烈に批判する筆は、虚心坦懐に絵を鑑賞する大切さを教える。2022/10/30
六点
101
「絵屋」「商業美術」と蔑視され、現在では忘れ去られてしまった画家たちが、日本には数多くいる。今では間違いなく大家として扱われている河鍋暁斎すら、80年代には色物扱いであった。伊藤若冲もそうである。今では、その作品に相応しい盛名を内外で受けている。どうして、そのような不遇の時代があったのだろうか?画壇を相手にしなかったから?そのとおりであろう。著者の言う通り「名前で見ると危険」なのである。素人たる六点は「さぁこの美しい絵にいくらの値を付ける!?」と考えて鑑賞していきたいと、誓を新たにしたものであるよ。2022/08/23
yyrn
30
高校の美術部で油絵を描いていた時、親にお願いして「日展」を観に東京まで行かせてもらったことがあった。本格的な作品の数々に質・量ともに圧倒されたが、一方で私が求めているモノではないな、もっとシンプルでデザイン性の感じられるものが好きなんだなと知ることができた。それ以来、菓子箱とか包装紙とか挿絵とか、とにかく気に入ったデザインやイラストを片っ端から集めては真似たりして悦に入っていたが、たまったモノを取り出して眺めては、こんな素晴らしい作品なのに中身を取り出したり、一読してしまえばもう用済みなのか⇒2022/02/27
takakomama
13
地元の美術館に小村雪岱があり、近くに河鍋暁斎記念美術館もあります。商業美術といわれる漫画やデザインが美術展で取り上げられるようになりましたが、海外と日本では評価が違います。知名度や肩書、代表作を重視して観てしまうけれど、アカデミックと商業美術、分野に関わらず、良いものは良い。食わず嫌いしないで、観に行こうと思います。 2022/09/19
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