内容説明
北条義時は十八歳で突如、歴史の表舞台に立たされる。義兄の源頼朝が平家追討の兵を挙げたのだ。義時は頼朝の側近として鎌倉幕府の樹立に貢献。頼朝没後、父時政に従い比企氏ほか有力御家人を排斥する。さらには父を追放して将軍補佐の執権職を継ぎ、甥の将軍実朝と姉政子を支えて幕政を主導。後鳥羽上皇と対決した承久の乱で鎌倉勢に勝利をもたらした。公武関係の変遷を辿り、武家優位の確立を成し遂げた義時の生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
78
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」に合わせて。題名こそ北条義時だが、彼の評伝というより保元・平治の乱から承久の乱までの通史といった趣の一冊。こういう通史みたいなのは大好きなので面白く読めたけど。平家物語などで源平合戦から義経追討、藤原氏滅亡までは割と知っているのだが、後半幕府成立後は御家人同士が兎に角争って族滅繰り返してたという知識しかないので、こちらは教えらえる事ばかり。「鎌倉殿の十三人」ってそういう意味だったのね。頼朝亡き後の権力闘争で、如何に北条氏が権力を握る事になったのかが説明され面白かったです。2022/01/24
活字の旅遊人
55
令和四年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に合わせて出されているのがよく分かる。今までそういう手には乗らないぞ、と思っていたが、今回は何故か興味を持った。第一話が面白かったからかな? 漫画で『吾妻鏡』を読んだ時、余りにも鎌倉幕府のことを知らない自分に衝撃を受けたのだけれども、どうやら潜在的に江戸幕府を基準にしてしまうのでなんだか掴みにくくなる気がした。京の貴族や上皇(法皇)との関係なくして、鎌倉幕府はあり得ない。それにしても日本は何重にも権力構造を作るのが得意だ。承久の乱をもう少し勉強しよう、と思った。2022/01/18
佐治駿河
51
吾妻鏡、愚管抄などの資料を基にその時代を考察した一冊である。決して北条義時を中心に書かれた書籍ではありません。やはり畠山重忠の討伐あたりから北条義時の行動がクローズアップされていきます。この時代のどの書籍を読んでも思いますが、大河ドラマの鎌倉殿の13人の内容は歴史資料に反しないように、その中で書かれていない部分を描いていることは本当にすごいと感じさせられます。2025/04/25
kk
43
北条義時の評伝。彼個人の事績にフォーカスするというよりも、彼の歩みを通して、幕府草創の意義や公武関係の成熟・変容などについて、著者の考えをまぶしつつ丁寧な考察を加えるもの。扱う事象の取捨選択がよい塩梅で、読み易くてナイス。2024/07/28
ホークス
42
2021年刊。元来武士は朝廷組織の一員だったが、平安末期には権威より武力が重要になっていた。まず上皇たちが武士を使って摂関家から権力を奪い、次に平家や源氏が台頭して「支配階級としての武士」を予感させた。混沌の中で北条義時は一種の理想を追った面がある。朝廷支配を覆す大変革。旧に属する者の痛みと怨嗟は激しい。感謝されず依存する相手も無い局面は誰にでもあると思う。ドラマ『鎌倉殿〜』は、荒野で夢を見るこの感じが好きだ。当時の武士は領主でなく、公地や荘園の代官職を基盤としていた点も興味深い。とても分かりやすかった。2022/10/24
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