文春新書<br> 無敵の読解力

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文春新書
無敵の読解力

  • ISBN:9784166613410

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内容説明

最強のコンビには何を語ってもらっても面白い。今回は、各章で3~4冊の書籍を参考資料にして、現代社会を縦横無尽に斬りまくる。
まず、第1章のテーマは「人新世から見た仕事術」である。ここでの参考図書は、斎藤幸平『人新世の資本論』、グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」、それから白井聡『主権者のいない国』の3冊。斎藤氏が切り拓いた、新しい『資本論』からの視点と、「クソどうでもいい仕事」から、リモートワークの現在や、仕事そのものと資本主義について考える。
第2章は、「米中対立 新冷戦か帝国主義戦争か」というホットなテーマを取り上げる。参考書は、ミアシャイマーの記事、レーニン『帝国主義論』、ホブソン『帝国主義論』、マルクス『経済学・哲学草稿』。いま世界が抱えているのはやはり米中対立の問題である。それを読解するには、レーニンの「帝国主義」が最適である。なぜなら、中国がやっていることは帝国主義路線そのものだからだ。この対立を歴史的にどのように捉え、どう対処していくべきかを探る。
第3章では、「なぜオリンピックはやめられなかったのか」を分析する。部分合理性が全体の不条理を招くという意味で、東京五輪は、ガダルカナル戦やインパール戦に共通する。
参考書は、菊澤研宗『組織の不条理』、後藤逸郎『オリンピック・マネー』、ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』、『日本陸軍 作戦要務令』。日本人に特有の病理が浮かび上がってくる。
第4章のテーマは「愛読書から見るリーダー論」。日本の歴代首相、党代表は一体、どんな本を読んできたのだろうか。その結果は、目を覆いたくなるような惨状で、まともに本を読んでいるのは歴代の共産党代表と、中曽根康弘、細川護熙ぐらい。小泉純一郎、枝野幸男、田中真紀子、土井たか子・・・その浅さ、教養のなさに唖然とする。菅前総理が挙げたマキアヴェリ『君主論』にいたっては、二人の舌鋒は火を噴く。日本という国はつくづくと凄い国なのである。
ちなみに参考書は、マキアヴェリ『君主論』と早野透『政治家の本棚』。
第5章では「日本人論の名著を再読する」を論じる。参考書はルース・ベネディクト『菊と刀』、オフチンニコフ『桜の枝』、ライシャワー『ザ・ジャパニーズ』。日本人は外側から見られた日本人論が大好きだ。この三冊が名著と呼ばれるにはそれだけの理由がある。『菊と刀』は戦後日本のグランド・デザインをつくるベースとなった点が重要だ。さらに、外部の視点から書かれた日本人論は、私たちが気づかない点を突き付けてくれる。制度や経済状況などによって変わった点はもちろんあるが、いま、わざわざ読み返してみる価値を詳述する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

110
池上・佐藤氏の本を最近注目しています。最新刊のこの本では人新世からみた仕事論、米中対立、オリンピック、愛読書からのリーダー論、日本人論の名著といった観点から対談がなされています。それぞれいくつかの本を話題にして、また各章の最後にはには関連の本を紹介して参考にはなりましたが、少し題名を変えた方がいいと感じました。2022/01/27

33 kouch

46
尊敬する2名の対談。お互いバックボーンが違うので面白い。随所にインテリ同士の共通言語みたいなものもあり、自分としては恥ずかしい思いで聞くところも多々あり。引用される本で未読も多い。教養について考えさせられる良い本。刺激にもなる。後半、2人が悪酔いしたように盛り上がり、政治家の本棚を切っていくクダリがある。毒舌でシニカルで痛快。小泉構文は一代で築き上げられたものではなかった。浅い読書をしている自分は他人のこと笑えない…乱読をモットーとしているが、古典やインテリの共通言語になっている本の比率もあげないとな。2024/11/22

kei-zu

28
著者二人の知識のぶつかり合いはもとより、未読の読者へ向けた本の紹介の上手さが楽しい。 写真に人の本棚が写っていると目を凝らしてしまう私ですが、確かにどのような本を読むかに性格や知性は現れてしまいますね(自戒をこめて)。2022/01/08

mintia

24
この本の中で多くの政治家が教養がないとお二人は言っていたが、自分も読書不足を反省した。小泉進次郎構文が話題になっていたが、父親の純一郎氏も浅い感想しか言えず似たもの親子だ。2022/05/07

もえたく

23
博覧強記の二人が古典をはじめとする書籍を通じて仕事論、米中対立、オリンピック等について語り尽くす対談集。読解力を身に付ける方法より、身に付けると物事をここまで深掘りして分析できる事を教えてくれる新書でした。特に、学術書を読むような政治家が居なくなった事を論ずる「愛読書から見るリーダー論」、度々流行る日本人礼賛論を読み解く「日本人論の名著再読」が興味深かった。 2022/11/21

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