内容説明
自己肯定感は高めなければいけないのか? なぜ、欧米人や中国人・韓国人にくらべて日本人は自己肯定感が低いのか? 「実力が伴わない人ほど自己肯定感が高い」などの心理学調査も踏まえつつ、大人・子ども問わずに蔓延する「自己肯定感」信仰の問題点を明らかにし、上辺の自己肯定感に振り回されず、ほんとうの自信を身につけるための心の持ち方を指南する一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
23
自己肯定感という呪縛。榎本 博明先生の著書。自己肯定感は大切、日本人は自己肯定感が低い、だから自己肯定感を高めないといけない。そんな自己肯定感についての思い込みや自己肯定感についての常識が正しくないことを榎本 博明先生が教えてくれる一冊。自己肯定感という言葉に惑わされないでほんとうの自信とほんとうの自尊心を身につけること。2022/01/13
takka@乱読
15
この本のテーマはタイトルのとおり、「自己肯定感信仰」に対する批判である。なぜ、自己肯定感を高く維持しなければいけないのか。著者はまず欧米のデータと比較する。欧米は基本的に自己肯定感が高いと評価されるが、その調べるための質問が日本人の謙遜の文化とのずれが激しいため、日本人の自己肯定感の低さがデータに表れていると指摘。また、自己肯定感を高めることを目的化している風潮に疑問を呈している。何かに没頭して人から評価されることで自己肯定感は得られる。SNSのいいねなどで得られる薄っぺらい自己肯定感は虚無だと指摘。2021/12/02
乱読家 護る会支持!
6
僕は、日本人の自己肯定感が低いのではなく、 同調圧力が強く、みんな一緒で平等でありたいと願い、そして時には過干渉しあう日本独特の社会風土が、日本人の「うつ」の本質的な原因ではないかと思います。 日本人にとっての「自己肯定感」を読みかえるとすれば、、、それは、自分一人の頑張りや努力によって得られるものではなく、他者への信頼や感謝によって得られるものであり、利他の心がベースにあるもののように思うのです。 なので、「他者からしてもらったこと」を思い出して欲しいと思います。 2022/03/13
sayaka
4
自己肯定感を高めようという方向性の本が多い中、印象強い題名の御本。自己肯定感を高めるのではなく、目の前の事を何でもいいから取り組んで努力し向上心をもって進む事が自己肯定感に繋がるという点や不安感を活かす点は納得。だがしかし内容的に心が強くないと難しい……と思うことも多々あった。それこそが心が鍛えられずに育ったということなのか。常に不安感が強くしんどくて通院している身としては腑に落ちない内容もちらほら。ただ逆の視点から書かれているので新鮮かつ学べるところも沢山あった。不安感を成長や向上に繋げていこうと思う。2021/12/23
H.A
3
自己肯定感というワードはここ最近言われ始めた言葉だそう。かつては自尊感情と言われたが、自己肯定感は今のありのままを肯定しようとし向上心の要素が欠けているところが趣を異にしている。自己肯定感が高ければ一直線に幸せに結びつくかと言えばそうではない。謙譲の美徳が染み付いている日本人としては、謙虚に自己を見つめ、改善点を見出し、向上心を持って臨むのが良さそうである。自己肯定感を無理に上げようとしてはいけない。そこには歪みが待っている。2023/09/13