内容説明
ジャポニズム、日露戦争、大衆消費社会を背景とした20世紀初頭の柔術・柔道の世界的な流行。嘉納治五郎に期待され米大統領に柔道指南する柔道家もいれば、レスラーと異種格闘技試合をする柔術家もいた。熱狂の時代を豊富な図版資料とともに描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
25
柔道がどうして国際的に有名になったのか以前から疑問だったこともあり、本書の『柔術狂』という言葉には好奇心をくすぐられた。本書は柔術と柔道の日本から世界への伝播と現地での受容の様子を資料により丁寧に調べることで格闘技史といえるくらい興味深いものにしている。私は格闘技について詳しくないため、そもそも柔術も柔道も同じものだと思っていたが、まったく違うものであり、展開していくうえでどちらに優位性があるかまで雑誌や新聞上で口論していたというのだから驚いてしまった。2022/01/02
サケ太
23
かつて、柔術・柔道は欧米にて一大ムーブメントを起こしていた!作者はこれを柔術狂時代として、柔術・柔道がアメリカにてどのように受容され、ブームとなり、衰退していったのかを描く。だけでなく、活躍した人物たちのエピソード。主な舞台のアメリカだけでなく、日本は勿論、フランス、まさかのアルゼンチンまで。“柔道”が世界に広がっていく前段階。筋肉信仰に始まり、日本の優位性の強調からの敵視。レッテルを貼られつつ、それを利用してきたための凋落。柔術・柔道に、価値を見出だした柔術狂たちの面白さ。やはり嘉納治五郎が好き。2022/01/02
ピオリーヌ
14
フォロワーさんが絶賛していただけあり大変面白かった。大衆消費社会が形成されゆく時期のアメリカにおける柔術と需要の様態、帝国主義の時代性や日露戦争を介した日本への眼差しが印象的。UFC等格闘技好きにもお薦め。2023/12/25
安土留之
3
20世紀初頭、日清、日露戦争に勝利した日本が国際社会のなかで存在感を高めるなか、柔術が欧米でブームになったという。前田光世など、多くの柔術家が欧米で異種格闘技戦やコーチをしたりしたことにより、柔術がミステリアスな日本人のイメージを増幅させたようだ。著者は当時の新聞記事など、膨大な資料を読み解き、柔術家と欧米社会とのかかわりを描いている。柔術を通じてこの時代の日本と欧米とのかかわりがイキイキと描かれており、面白かった。猪瀬直樹の『ミカドの肖像』にならぶ、こに時代の文化史として素晴らしい本と思う。 2022/01/15
志村真幸
2
アメリカ文学研究からスポーツ史に進んだということで、ほかにはない切り口と発想で書かれている。 いかに20世紀初頭のアメリカで柔術/柔道が流行り、あっという間に廃れていったかが、無数の資料をもとに論じられている。 ヴィジュアルな資料が大量。 よくこれだけ調べたなというくらいの 圧倒的な情報量だ。 そして柔道というものがもった広がりや可能性についても踏みこんでいる。 優れた研究だ。 2023/05/28
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