岩波文庫<br> 憲法講話

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岩波文庫
憲法講話

  • 著者名:美濃部達吉
  • 価格 ¥1,584(本体¥1,440)
  • 岩波書店(2021/12発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003403211

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内容説明

憲法学者・美濃部達吉(1873―1948)が,「健全なる立憲思想」の普及を目指して,国家法人説の見地から明治憲法を一般読者へ向けて体系的に講義した書(初版1912年).天皇機関説を打ち出した本書は,天皇主権説論者との論争を呼び,のちには美濃部の学説が否定されていく.1918年の改訂版に基づく.(解説=高見勝利)

目次

凡例┴序┴憲法講話の縮刷について┴第一講 国家および政体┴一 国家の性質┴二 政体の種類┴第二講(上) 帝国の政体┴第二講(下) 天皇(その一)┴一 天皇の国法上の地位┴二 天皇の大権┴三 天皇の不可侵権┴四 皇位継承┴第三講(上) 天皇(その二)┴五 摂政┴六 皇室法┴第三講(下) 国務大臣および枢密顧問┴一 国務大臣┴二 枢密顧問┴第四講 帝国議会(その一)┴一 議会の国法上の性質┴二 議会の両院制度┴三 貴族院の組織┴四 衆議院の組織┴第五講 帝国議会(その二)┴五 議会の権限(一) 概説,立法に関する権限┴六 議会の権限(二) 財政に関する権限┴七 議会の権限(三) 形式的権限┴八 議会の権限(四) 議院内部の事項┴九 議会の会議┴十 議員の権利義務┴第六講 行政組織┴一 行政組織総論┴二 中央官庁┴三 地方制度┴第七講 行政作用┴一 行政作用汎論┴二 行政作用の形式的分類┴三 行政作用の制限┴四 訴願および行政訴訟┴第八講(上) 司法┴一 司法の観念┴二 司法権の独立┴三 司法裁判所┴四 訴訟手続┴五 特別裁判所┴第八講(下) 法┴一 法の本質┴二 法の種類┴第九講(上) 制定法の各種┴一 憲法┴二 皇室典範および皇室令┴三 法律┴四 国際条約┴五 命令┴六 自治団体の法規┴第九講(下) 国民の権利義務┴一 国民の権利┴二 国民の義務┴第十講 帝国殖民地┴一 殖民地の意義┴二 殖民地の法┴三 殖民地の人民┴四 殖民地の行政組織┴五 殖民地の司法制度┴[参考1] 大日本帝国憲法┴[参考2] 初版(一九一二年)からの主要な修正・削除箇所┴解説(高見勝利)┴索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

95
大日本帝国憲法がどのようなものであったのかがよくわかります。天皇機関説を説いているということでかなり圧力を受けた、ということですが現在からみると当然のことながらかなり保守的です。それでも昔は憲法についてこのような講義を中学の先生向けに文部省が主催していたことの方が驚きです。10回の講話でわかりやすいのは話言葉で書かれているからなのでしょう。いまの憲法でもやってほしいですね。2018/12/14

南北

47
著者が中学校教員向けに行った講義を元にまとめられているので、読みやすく帝国憲法の内容が理解しやすい。日本国憲法と比べても遙かにまともな憲法だったことがわかる。「東大憲法学」は「法律の範囲内に於いて」を法律ごときが憲法サマに制限を加えるとは何事かと考えているようですが、国民の権利義務をショーウィンドウに飾るだけの日本国憲法との違いを認識すべきだと思います。解説では国家総動員法の例を持ち出してこの件を否定的に扱っていますが、これこそ憲法で大切なのは条文そのものではなく、運用なのだという証左になります。2020/08/22

Tomoichi

19
GW課題図書その3。昔から天皇機関説に興味があったが意味がわからずこの年まできてしまったが、本書で氷解。美濃部の憲法論・立憲主義が戦前の標準的解釈であれば違う歴史もあり得たかもしれないが、憲法論を政争の道具にした政党が自ら政党政治に終止符を打った。本書を読む限り日本国憲法への改正の必要性もなく運用は可能だったと思う。どんな立派な憲法も法律も運用次第である。学校で習った現憲法と帝国憲法の比較について言えば帝国憲法について何も理解していない人による批判だったと改めて理解。2023/05/05

CCC

17
天皇機関説で右翼のターゲットにされた印象しかなかったが、現代的な視点から見れば国家主義的ではないかと感じるところもあった。しかしそれよりも現代の文脈で強い意味を持ちそうなのは、第十講の植民地について。植民地の定義から始め、韓国や台湾がなぜ植民地と言えるのか、どういう状況に立たされているのかを、大日本帝国の法律家の立場から説明している。客観性の高い支配者側の視点として資料的価値を感じた。日本と大日本帝国の違いが顕著に表れている部分でもある。2018/12/12

ヤギ郎

14
美濃部達吉が記した明治憲法の教科書。文部省の開催した中等学校の教員に向けた講座を一冊にまとめている。明治憲法を土台にしているので、細部は異なるが、現行日本国憲法の理論に通じるところが多いことに驚く。裁判所構成法(現行でいう裁判所法。)といった明治憲法下に運用された法律がそのまま掲載されていて、眺めるだけでも面白い。本書の根底には立憲主義の実現がある。「天皇」の章から始まる明治憲法に理論的な説明を与えて、国家像を描き出した。「帝国殖民地」の章(いわゆる外地法論)があって興味深い。解説は高見勝利。2020/10/09

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