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内容説明
地方にいるからこそ、見えてくるものがある。東京に集中する大手メディアには見過ごされがちな、それぞれの問題を丹念に取材する地方紙、地方テレビ局。彼らはどのような信念と視点を持ってニュースを追いかけるのか? 報道の現場と人を各地に訪ね歩き、地方からジャーナリズムを問い直す。
目次
はじめに
第1章 秋田魁新報 イージス・アショア計画に迫る
1 取材方針「やれることは何でもやる」
2 「主張ありき」ではなく「ファクト」を
3 地方紙の「使命」とは何か
第2章 琉球新報 ファクトチェック報道の舞台裏
1 フェイクに蹂躙される沖縄
2 「覆面の発信者」を追う記者たち
3 沖縄で新聞記者になるということ
第3章 毎日放送 ドキュメンタリー『映像』の系譜
1 標的にされる「教育」と「メディア」
2 大阪から沖縄の現場を伝える
3 ドキュメンタリーは生きている
第4章 瀬戸内海放送 ある調査報道記者の歩み
1 「ゲーム条例」の不透明さを暴く
2 司法は市民に応えているか
3 「個」の力が報道を強くする
第5章 京都新聞 被害者報道を考える
1 京アニ事件で問われた「実名」の意味
2 「報道の内幕」どこまで明かせるか
3 事件から1年後に出された「回答」
第6章 東海テレビ放送 『さよならテレビ』が問うもの
1 不都合な「自画像」が起こした波紋
2 「視聴率」と「報道の使命」の間で
3 「テレビの闇」はどこにある
長いあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
112
メディアの主流は完全にネットとスマホに移り、昨今は新聞やテレビなど見ないと公言する人が珍しくない。時代遅れとされつつある旧媒体だが、地方メディアでは地域の問題を取材するジャーナリストとして活躍する人がいる。大手紙やキー局よりも一般市民との距離が近いため、東京では表に出にくい社会問題や議論すべき課題が生のかたちで現れる。社会のマスコミに対する信頼度が低下しているだけに、深掘りされた本物の情報でなければジリ貧だとわかっているのだ。報道のプロとしてのプライドを示す活動の数々は、まだメディアへの希望を感じさせる。2022/05/14
おおかみ
9
新聞やテレビ報道が批判に晒され続けて久しい。どれほどの割合が妥当なのかはともかく、各メディアの経営は悪化する一方で、そう遠くない未来に統合・再編に踏み切るという予想図は大いにあり得る話だ。そんな中で本書が紹介する6社はどうか。結論ありきの杜撰な国策を暴き、ネット上の攻撃的な言説の内実に迫り、被害者報道のあるべき姿に向き合う報道は、地方メディアだからこそ可能だったのか、全国地やキー局には不可能なのか。見解は様々ありそうだが、いずれにしても、そこに新聞やテレビが担うべき報道の姿があるように思う。2022/02/11
チェアー
8
メディアの再生は、地方にあるのではないか。既に日本の抱える問題の大半は地方で顕在化している。それを放置して、見えなくしてきただけだ。だから地方の現場に腰を据えて報道することには意味があると思う。地方から都市部を見ることで、ありきたりな机上の解ではない世界が見えてくるはずだ。2022/01/23
うさぎや
7
地方にもすごいジャーナリストがいるものだ……ということで。2022/02/19
hideto
5
テレビ、新聞といった大手メディアがネットに取って代わられ、報道のあり方を巡っても度々批判を集めている現在。そんな中でも、気概のある地方メディアはあるんだ!と言わんばかりのノンフィクションです。どれも地方に根ざしたメディアの紹介ですが、特に印象に残ったのは京都新聞の京都アニメーション放火殺人事件への取り組み方。地元紙として、長年関わるであろう事件、被害者にどう真摯に向き合えばよいのか?という葛藤が描かれています。在京メディアの不甲斐なさが目立つ中、こうした地方メディアの頑張りに、より期待したいです。2022/08/19