ちくま新書<br> 情報生産者になってみた ──上野千鶴子に極意を学ぶ

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ちくま新書
情報生産者になってみた ──上野千鶴子に極意を学ぶ

  • ISBN:9784480074416

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内容説明

1993年から2011年にかけて開かれていた、東大文学部「上野ゼミ」。あまりの厳しさゆえに一時は志望者がゼロだったこともあるが、多くの同ゼミ出身者が、今や研究者やジャーナリスト、あるいは社会起業家として、たくましく情報生産者の道を歩んでいる。上野ゼミで、彼らは何を学び、どう応用したのか。どこに行ってもアウトプットができる力は、どのように育まれたのか。かつての教え子たちによる、『情報生産者になる』の必携副読本。

目次

まえがき
第一章 ゼミ卒業生が語る、上野ゼミの一年間 坂爪真吾
【四月】「日本最恐」のゼミ、始動
ゲイの先輩の発表に圧倒される
【五月】先行文献の批判的検討に挑む
プロの研究者の文献を、ゼミに入ったばかりの三年生が批判する
【六月】卒論の研究計画書の発表(四年生)
【夏休み】ゼミ生の仲間たちで渋谷・円山町のラブホ街を定点観測
【夏合宿】朝九時から夜一〇時までひたすら発表・議論
レスカのナイフが胸を刺す!
【一〇月】研究の目次と草稿発表
目次発表が辛い理由
「言葉の刃物」が「ファンレター」に変わる
【一一月】コンテンツをつくる(草稿発表)
内在的なコメントの撃ち合いによる疲弊
【一二月】卒論報告会
【一月】三年生の草稿発表
【二月】最後の地獄・冬のゼミ合宿
上野ゼミサバイバル心得・六箇条
第二章 上野ゼミで教わったこと
1 論文を書く力は、〇から一を生む力 大滝世津子
山の庵に
論文の書き方がわからない!
論文のお作法!?
「上野の教え」は役立っているか
上野ゼミの顕在的カリキュラム
問題設定
対象・方法
先行研究の批判的検討
理論的枠組みの設定
分析および考察
結論
本研究の意義と限界(課題と展望)
その他の顕在的カリキュラム
上野ゼミの潜在的カリキュラム
情報生産者になりました
2 「個人の問いを社会の問いにつなげる知」の実践 開沼博
大学のいま
個人の問いを社会の問いにつなげる知
上野ゼミとの出会い
レジュメにイラストを描く人は大成する
ゼミ合宿での学び
明確化・俯瞰・構造化
3 ストーリーで届ける、人の言葉で語る 中村かさね
「届ける」ための5W1H
上野ゼミで浦和レッズを研究する
教育者・上野千鶴子の懐の深さ
はじめて意識した「読者」
「ジェンダー」を避けていた私が上野ゼミに
三〇代が三〇代を取材した「リアル30s」
「モヤモヤ」を掬いあげる
取材相手と一緒に作る
読者とつながる
「個人的なことは政治的なこと」
社会の「空気」を変えるために
バトンをつなぐ
4 情報生産者を育てる「教え方」 竹内慶至
はじめに──「実技」試験
先行研究とオリジナリティ
「上野ゼミ解説本=竹内ゼミ解説本」としての『情報生産者になる』
オープンネス──「楽屋裏」を見せること
「伝達可能な知」の生産と伝達
教育者としてのまなざしと姿勢
これからの時代の大学教員
学ぶこと=真似ること
おわりに──結局合格できたのか?!
5 上野ゼミに入った社会学オタクが社会起業家になるまで 坂爪真吾
光の当たらない性の領域でのアクションリサーチ
表面的な技術や方法論を超えた「何か」を求めて
「宗教としての社会学」を享受できた最後の世代
上野千鶴子、我らがシャーマン
機械仕掛けの歌舞伎町の女王
「なんちゃってウェルメイドセオリー」に閉じ込められる
上野ゼミと宮台ゼミの比較
機械仕掛けの社会学的幸福論
機械仕掛けの社会学的幸福論の結論
シャーマンとの直接対決
存在する限りにおいては問い続けよ
6 社会が先、学問が後の立命館ゼミ 中野円佳
遅ればせながら、上野ゼミの扉をたたく
個性豊かな立命館ゼミ生たちの当事者としての問い
女性学における上野vs中野論争
「論客になる」目標はどうなったか
情報生産者にこれからなる
追記
第三章 上野ゼミを社会学する──KJ法の実践 竹内慶至+大滝世津子
1 上野ゼミ生アンケート
2 「うえの式質的分析法」について
3 具体的な手順
4 分析結果
5 アンケートから見えてきたことと限界
第四章 座談会 バトンを未来につなぐ 上野千鶴子+上野ゼミ卒業生チーム
多様すぎる上野ゼミ生たちの研究テーマ、実際はどう思ってた?
運動家「上野千鶴子」と教育者「上野千鶴子」、その線引きは?
「保健室」としての上野研究室
卒業生へのアフターケア
「社会をのぞく窓」としての上野ゼミ
フェミニズムの〝バトン〟は渡ったか
情報生産者として「越境」する
未来につなぐバトン
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

97
上野千鶴子著『情報生産者になる』の副読本。上野千鶴子さんのゼミに参加していたゼミ生が上野千鶴子さんのゼミについて上野式KJ法について語る本。本当に面白いことやっているなと感じる一方、すごい大変だろうなと感じた!上野ゼミは色んな意味ですごい人の集まりであった。その人たちを情報をアウトプットする人たちに変えるレッスンが上野ゼミであった。印象に残っている言葉がいくつもあるがその中でも『クイズ王になってはいけない』が一番残っている。クイズ王は答えをいかに知っているかが物を言う。だがそれ以上に答えを作る人になれ!2022/04/06

けんとまん1007

52
『情報生産者になる』に続いて。あの作法の、この基礎体力(知力)があると、こうなるのかと唖然とする。実体験者の言葉は、伝わるものが違う。レベル感は違い過ぎるが、真似をすること・しようとすることから始める。まずは自分だけでなく、周囲の人も納得するアウトプット。キメの言葉はso what?。2023/01/23

ねお

17
『情報生産者になる』で記述されていた上野ゼミの顕在的及び潜在的カリキュラムがどのように学生に受け止められたかを知ることができる。大滝さんの文章からは顕在的カリキュラムの個別項目について、具体的躓きとその乗り越え方が説明がされており、理解に役立つ(特に問いの焦点化・マッピングと理論的枠組み設定)。学術の言語・文法の比喩で、ゼミのあり方も上野ゼミが唯一の正しい正解ではないということも腑に落ちる。坂爪さんの文章からは、去年1年間学部ゼミを受けていたのでは、と思えるほどゼミを受けた学部生の心境が生き生きと伝わる。2022/02/08

skr-shower

5
間違えて”親”本読む前に副読本を読んでしまった。熱い思いは伝わった。ゼミと言うのは学生を𠮟咤激励して論文を書かせるだけでなく、書くためのメソッドを伝え指導教官は学生の視野を狭めない。今勉強出来たらすごく頑張れる、かもしれない。ちょっと頑張ろう。本編も読まなくちゃ。2022/04/27

ヨシオ・ペンギン

4
『情報生産者になる』が厚くてなかなか手が出ないなか,まずはこちらから。『フェミニズムがひらいた道』から続いて上野千鶴子関連本を続けて読んでいるのだが,本質的に上野ゼミの設計が学生の成長や安全をねらって作られている感じが伝わってきて,学生本意に考えられるってすごいなと。次はいよいよ『情報生産者になる』だ。2022/05/31

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