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内容説明
文学史上に残る10人の文豪――漱石、有島、芥川、島清、賢治、中也、藤村、太宰、谷崎、川端。漱石は、うつ病による幻覚を幾多のシーンで描写し、藤村は、自分の父をモデルに座敷牢に幽閉された主人公を描くなど、彼らは、才能への不安、女性問題、近親者の死、自身や肉親の精神疾患の苦悩を、作品に刻んだ。精神科医によるスキャンダラスな作家論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nat
58
図書館本。幻冬社新書で読了。10人の文豪の中で7人が統合失調症あるいはうつということだった。生きにくい時代で結核にも罹患しやすかったので、全てがそういう結論で良いのかは少し疑問だが、それぞれの人生は興味深かった。島田清次郎については全く知らない作家だったので、まさに忘れられた天才だなと思った。10人の中では谷崎潤一郎が思いのままに生きた印象だった。また漱石が国費留学生としてロンドンへ行ったのにケンブリッジの学費が高く入学を断念して独力で英文学を学んだことに驚いた。それは精神状態が悪化するはずだ。2022/02/23
優希
52
精神科医による文豪論が繰り広げられます。文豪という人々は心の中に何かを抱えているんですね。スキャンダラスで面白かったです。鬱だからこそ自分は文豪に惹かれるのだと思いました。2023/04/02
AICHAN
49
図書館本。日本の文豪10人を精神科医が診断する。夏目漱石は妄想を伴う精神病性うつ病だったと思われ、有島武郎はうつ病と推測される。芥川龍之介は母が統合失調症だったらしく自身はうつ病、島田清次郎は統合失調症、宮沢賢治は躁うつ病、中原中也は統合失調症、島崎藤村は反応性うつ病、太宰治はうつ病、谷崎潤一郎はパニック障害と強迫性障害、川端康成は睡眠薬中毒とそれぞれ思われる。彼らの生い立ち、家庭環境、人となり、時代背景などにまで踏み入っていて、とても興味深かった。2022/02/14
けやき
47
10人の文豪の作品と精神疾患の関係を述べた作品。興味深い内容でした。2022/01/03
みやび
39
精神科医である著者による考察。文豪と呼ばれる作家のほとんどが、破天荒で常識の範囲から外れたエピソードを持っているけれど、それは優秀で感受性が強く、何より真剣に生きようと苦悶し、身を削って作品を生み出し続けた結果の心の叫びであったのかもしれない。その中でひとり、島田清次郎という作家だけは知らなかったのだが、かなり傲慢で尊大な態度だったために文壇から排除されたらしく、悲惨な最期に何とも言えない切なさを感じた。文豪は皆、心悩ませ苦しみを抱えてもがいていた。作品はそんな作家達の人生そのものなのだろう。2022/04/27