講談社現代新書<br> 激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972

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講談社現代新書
激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972

  • ISBN:9784065265697

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内容説明

高揚する学生運動、泥沼化する内ゲバ、あさま山荘事件の衝撃。
左翼の掲げた理想はなぜ「過激化」するのか? 
戦後左派の「失敗の本質」。

自分の命を投げ出しても構わない。他人を殺すことも躊躇しない。
これが「思想の力」である。
いま、戦後史から学ぶべき歴史の教訓とは。


「この時代は、左翼運動が最高潮に達しながらその後急速な凋落を辿っていった時代にあたり、左翼史全体を通じても特に歴史の教訓に満ちた時代です。まさに、この時代は「左翼史の核心」と言えるでしょう。」(佐藤優)

「なぜ左翼は失敗したのか。この本では一貫してこの問いに立ち返ることになるでしょう。そして、左翼の顛末を歴史の教訓として総括することは、最も学生運動が盛り上がっていた1968年に大学生になった私の使命でもあります。」(池上彰)


【本書の目次】

序章  「60年代」前史
第1章  60年安保と社会党・共産党の対立(1960~1965年)
第2章 学生運動の高揚(1965~1969年)
第3章 新左翼の理論家たち
第4章 過激化する新左翼(1970年~)


【本書の内容】

・60年安保は「反米闘争」か「反岸闘争」か
・「敵の出方」論をめぐる共産党・志位和夫の嘘
・「反スターリニズム」に賭けた新左翼の精神
・「反米従属」と「愛国」に舵を切る60年代共産党
・新左翼は「リアリズムを欠いたロマン主義」
・「第一次羽田事件」山崎博昭の死が時代を動かす
・戦う意志を貫き、代議制を捨てた「全共闘」
・行動の「中核派」、理論の「革マル派」
・「ニセ左翼」vs.「権力の泳がせ論」
・本屋で「火炎瓶製造マニュアル」が買えた時代
・「日大アウシュヴィッツ」という揶揄の声
・池上彰青年を「オルグ」しようとしたセクト
・卓越した思想家・黒田寛一と国鉄・松崎明の関係
・沖縄は「奪還」すべきか、「解放」すべきか
・日本人を「総ノンポリ化」した新左翼運動
・左翼は「人間の不完全さ」を自覚せよ  ……ほか

目次

序章  「60年代」前史
第1章  60年安保と社会党・共産党の対立(1960~1965年)
第2章 学生運動の高揚(1965~1969年)
第3章 新左翼の理論家たち
第4章 過激化する新左翼(1970年~)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

133
絶対的権力は絶対に腐敗するとは、政治のみならず宗教や思想でも同じだ。左翼思想も他との差別化を図るため、より過激で純粋な理想を掲げる。やがて「自分たちの主張こそ正しい」と思い込み、ロベスピエールや毛沢東、金日成やポルポトのように邪魔者を粛清する歴史を繰り返してきた。新左翼勢力も理想のためには流血も辞さぬ純粋至上の遺伝子を受け継ぎ、内ゲバの果てに国民から見放された。この血で血を洗う左翼の失敗史が、日本国民をノンポリに追いやる政治教育となった。「官僚化せねば政治はできない」とは、理想主義への致命傷となる言葉だ。2022/01/25

trazom

118
半年前の「真説日本左翼史」の続編。60年安保闘争から連合赤軍までの新左翼の動静が紹介される。佐藤さんが明確に日本共産党への批判的な姿勢を示すのに対して、池上さんは中立的ポジションを崩さない。50年生れの池上さん、60年生れの佐藤さんという関係からすると、池上さんの方が、より直接的にこの時代を体験しているはずなのに、決して自らの主観を鮮明にしない姿勢は、流石と言うかズルいと言うか…。共産党や中核派に対する佐藤さんの感覚は、私自身の体験と照らしても大いに共感するが、竹本信弘さんの重要性に対する認識は少し違う。2022/02/05

Isamash

59
池上彰と佐藤優の左翼史対談第2弾で2021年出版。新左翼のことやあさま山荘事件に繋がりところについては何冊か書籍も読み多少知っていたつもりであったが理論家のことはよく知らず非常に興味深かった。連合赤軍派内での粛正は子供ながら自分もショックであったし、若者だと同情心を持って見ていた世間の手のひら返し的反応も記憶にあるところ。佐藤はこういった新左翼の自滅的結果を、左翼理論が内包するものや人間の不完全さの無理解にあると説く。自分は科学的理論と言えない単なる運動方針を、絶対視する思考がそもそも破綻していると感じる2023/06/16

yamatoshiuruhashi

58
池上彰、佐藤裕対談による日本左翼史第2巻。1960年から72年。要するに60年安保から連合赤軍事件の発覚と関連事件による自壊まで。「人の幸福」、「平和」を唱えながら武器を手に率先して人を殺していく集団の本質が露わになってくる過程、その理由づけが納得いくものの胸が悪くなりそうである。「正義感と知的能力に優れた多くの若者たちが必死に取り組んだけれども、その結果として彼らは相互に殺し合い、生き残った者の大半も人生を棒に振った。」との佐藤の終章での総括的発言が正鵠をついている。2022/02/20

ヨーイチ

44
佐藤優が60年生まれで池上彰ご50年生まれ。小生が56年生まれで真ん中辺。この巻は一般学生であったご両人の証言が当たり前だけど生き生きしていて面白い。ノンポリで平凡だった小生の「あった、あった」が解き明かされて行く痛快さ。評価、論評なんて小生には重すぎるが、忘れてならない事も沢山ある筈。特に時代の空気、雰囲気は身を寄せた者の責任であろう。2023/08/13

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