内容説明
知られざる
もう一つの戊辰戦争!
東北・盛岡藩から見える維新の真実――
高橋克彦氏(作家)絶賛の歴史巨編!
単行本から大幅加筆の大増補版
明治維新の裏側にこういう傑物がいた。そしてこれからは生まれない美しい魂だ。
最後の章でだれしもが号泣し、美しい生き様に羨ましささえ覚えるだろう――高橋克彦(作家)
真の維新とは何か――若き藩家老の決断は!?
幕末、盛岡藩内で貧困と重税に反発し、一揆を起こす百姓たち。そして、その要求を簡単に反故にする藩の重臣。若き藩士・楢山茂太(後の佐渡)は「百姓による世直し」を夢見、家老となってからも、新しい世の政の実現を志す。しかし、維新の混乱の中、奥羽越列藩同盟に属した盛岡藩は新政府軍と対決の時を迎える――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イシカミハサミ
13
「最後の武士」とも言われた 盛岡藩の藩士、楢山佐渡を中心とした 幕末の物語。 楢山家の人たちの描写が本当に素晴らしい。 どの関係性をとっても泣けてくる。 中盤の戦争の描写が必要なものとはわかるのだけれど、 楢山家の物語からは離れてしまうし、 戦争という特性上、人物が入り乱れて、 状況を追うのも大変だったので、 もうちょっと略してくれるともっと読みやすくはあった。2022/11/06
ゆうこ
10
一人の信念を貫いた話でした。戊辰戦争と言えば京都、会津、薩長などの話が多い中、奥羽越列藩同盟の話はあまり知らなかった。まして青森での出来事など…。歴史に、もし、はないと思っているが、主人公楢山茂太が川に流された赤ん坊を見なければ、一揆に参加する農民を知らなければ。佐幕か尊皇かでは無く、武士だけが政を行わない世の中を作りたいと望んだだけではなかったかと。その望みさえ叶えられない世の中とは。柳のように時に揺れることを知っていれば命を落とすこともなかったろうに。700項を超える本ですが本当に読んでよかったです。2022/01/25
ryohey_novels
8
幕末の盛岡藩奥羽越列藩同盟を主導した楢山佐渡の一生を描く。前半は藩の御家騒動を通じ、佐渡が‘武士だけの政治の限界’に気づき、後半は幕末の動乱の中決断を迫られていく。非常に良質な歴史大作だった。幕末、劣勢にある佐幕派の中で盛岡藩は何故参戦したのか。仮に負けたとしても薩長の理不尽な政治・やり方に反発した人がいるということを「国」に訴えかけたかったというのは綺麗事だが納得できる。高橋克彦氏の『天を衝く』で秀吉に対して最後まで対抗した九戸政実に近いものを感じた。己の利益でなく他を活かすために立つ姿は実に格好良い。2022/06/19
さる
1
奥羽越列藩同盟に属した南部藩の家老(加判役)楢山佐渡の視点から見る幕末~戊辰戦役までの物語は知らないことが多く新鮮。加判役にしては心の揺れ動きが多いと感じたが、読み終わってみて、そう感じるのは自分が結末を知っているからであり、当時を生きる人々にとってはまさしく激動の日々で、重役として過つことのできない選択の連続であったと思えば当然かと納得。 家臣に「己に『お前たちのためにやっているのだ』という気持ちが強ければ、逆らわれると腹が立ちまする」と指摘された言葉は、心に留めおきたい。 いつの時代も柳は萌えねばと。2024/02/14