内容説明
放送50年、若き才能と時代が生んだ奇跡の名特撮ドラマ、決定的ドキュメンタリー登場。前作『「ウルトラセブン」の帰還』で絶賛された驚異の分析力で定説に挑む! 1968年9月15日、第1話「壁ぬけ男」の放送で円谷プロの新シリーズ「怪奇大作戦」は幕を開けた。怪獣も宇宙人も登場しない新路線に戸惑っていたのは、視聴者だけでなく、金城哲夫をはじめとするスタッフも同様だった。一方で「マイティジャック」の失敗が、若き才能が集う〝梁山泊〟の先行きに暗い影を落としていた。それでも彼らは、切磋琢磨の中から、テレビ史に残る珠玉の傑作を送り出していく…。金城哲夫、上原正三、実相寺昭雄、円谷一、飯島敏宏…60年代後半、夢の映像工房に集った若き才能の角逐と光芒。その足取りを丹念に分析し、「そのとき何があったのか」を再構築する。前3作で圧倒的評価を得た著者が挑む、待望のドキュメンタリー第4弾。今回も史料と証言から、名作の歴史的事実に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
90
「ウルトラセブン」の視聴率低迷、「マイティジャック」の失敗が影を落とす中、セブンの後番組として、怪獣の登場しない新たな企画「怪奇大作戦」は誕生した。中々方向性の定まらない企画、プロデューサーの意向に応えられず苦悩する金城、番組の不調と台所事情を憂える円谷英二、混乱する現場。当たらなければ後が無い。著者はその緊張をドキュメンタリーとして追跡し、そこから「怪奇大作戦」という大枠の中に於ける各作品、監督、脚本についても分析を行い、この奇跡の番組を掘り起こして行く。またも大変興味深く且つ面白い一冊でした。2019/03/17
へくとぱすかる
73
ウルトラシリーズの後が、なぜ「怪奇大作戦」なのか、という疑問は、読んでみて氷解。テレビ番組である以上は、スポンサーやテレビ局の意向をくまないわけにはいかない、ということか。路線変更によるスタッフの苦悩ぶりが伝わってくる。現場の混乱、会社の財政もピンチになり、社長の円谷英二の死が追い打ちをかける。しかしよくぞ、ここから持ちこたえてくれたものです。すでに高齢になった当時のスタッフへのインタビューや、日記や台本などの資料を駆使して制作の過程を追っていくのだが、50年もの時間差を感じさせないリアルな再現には驚く。2020/02/23
keroppi
70
この放送が始まった時、それまで見ていたウルトラシリーズとの違いに戸惑った記憶がある。なんとも暗い雰囲気だし、スーパーヒーローがいるわけではない。まして、人間の深淵を理解出来るほど大人になってはいなかった。この本を読むと、その裏側にあった作家たちの苦悩や挑戦が見て取れる。時代の流れは、非情にも、彼等を襲う。しかし、そこには、輝くばかりの才能が溢れ出していたのだなぁ。もう一度、このドラマを見直してみたくなった。2019/07/29
たか厨
22
円谷プロ制作のテレビ番組『怪奇大作戦(1968)』の成立の経緯から、終焉までを追った一冊。『怪奇~』で傑作4本を撮り上げた実相寺監督の「人には誰しも花の時がある。怪奇大作戦こそ、私の花の時じゃなかったかと思えてならない」という言葉を取り上げ、放送から半世紀を経た本書ではスタッフたちの「花の時」を残酷に暴き出す。ウルトラシリーズで、あれ程の筆の冴えを見せた脚本家・金城哲夫が、本作では全く振るわずに途中退場し、それとは対照的に上原正三が、花の時を迎えたかように傑作群を物にする。その対比の何と残酷なことか(続)2019/07/17
緋莢
20
怪獣も宇宙人も巨大ヒーローも登場せず。怪事件の謎に挑むのは科学捜査研究所(SRI)の面々。それが「怪奇大作戦」という番組で、未だに評価が高く、2000年代に3度のリメイク作品が作られているほどです。しかし、当時は平均視聴率が(過去の作品と比べて)22%と振るわず。そんな「怪奇大作戦」を、放送が始まる前段階から、主にスタッフに焦点を絞って書いています。怪獣ブームの終焉、その後の妖怪ブームにあわせる形で企画されたと思っていたのですが それ以前から企画があったというのには、へぇーとなりました(続く2019/12/05
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