内容説明
何かを偶然共有するというよりも、手を ぐようにして、私たちは同じものを持つ。
言葉が違っても、国が違っても。――最果タヒ
太宰治や宮沢賢治、茨木のり子、最果タヒ、崔実などの作品を手がける韓国の人気翻訳家が「日本の恋の歌」をめぐって綴る情感ゆたかなエッセイ。
小野小町、紫式部、清少納言、伊勢、和泉式部……が詠んだ熱烈で芳潤な65首をモチーフに、二つの言語の間を行き来しながら日々の生活や仕事について描く。
君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ
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〈百人一首や古今和歌集の三十一文字の世界を日本語と韓国語の両言語で併記〉
千年の時と国境を超え、〈恋の歌〉が今もなお瑞々しく響く。
韓国の人気翻訳家による65首の和歌をめぐる情感ゆたかなエッセイ。
【目次】
■序文 二つの言語を行き来する旅
■一章 言の葉の森で
■二章 翻訳家の仕事場
■三章 孤独を応援します
■四章 悲しみではなく、愛
■日本の読者の皆さんへ
■訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
61
著者は太宰治全集をはじめ、多くの日本文学をハングル語に翻訳されています。この著書を読んでいると、歴史の大きなうねりと自然と流れる言葉の魅力を感じます。実に詩的な作品でもあり、著者の自然に触れた日常の一コマが楽しい。こうした作品と出会えるから書店は楽しい。著者もあとがきに書かれているように、紀伊國屋やジュンク堂など建物すべてが書店であることの驚きは、私も幼いときに同じように感じました。そして、そこは今だけでなく悠久の時間を経た言葉に満ちあふれているのです。2022/04/12
KEI
33
著者は日本文学の翻訳もしている韓国人作家、チョン・スユンさんが、主に恋をうたった和歌をテーマに書いたエッセー。和歌をハングルに訳しているが、友人で短歌の結社に入り韓国語を学んでいる方に聞いたところ、ハングルの短歌も三十一文字となっており、意訳ではあるが韻も踏まれているそうである。読んで思うのは千年前も人種も国家も1つのもので、昔も今も同じ様に恋をし、別れを悲しみ、孤独を感じ、嫉妬もする。驚いたのは著者の日本文学などに対する博識だった。日本人の私ですら知らなかった事を改めて知った。興味深かった。2022/09/25
かもめ通信
18
この本は、太宰治や茨木のり子、最果タヒなどの作品を韓国語に翻訳してきた韓国の人気翻訳家によるエッセイ集。百人一首や古今和歌集から拾い出された小野小町や紫式部、清少納言や和泉式部らが詠んだ三十一文字の世界が、二つの言語の間を行き来しながら、著者の日々の生活や仕事の中に溶け込んでいく。確かにこの歌に歌われるような切ない思いは、万国共通なのかもしれないなあと共感したり、あの歌からそんなことを連想するとは!と驚いたり。読んでいると何だか無性に、日本の古典文学を読みたくなってもくる。2022/07/14
アンズ書店
10
韓国文学▶日本語へ、日本文学▶韓国語へ訳す著者の恋愛を題材にした和歌を題材に書くエッセイ。月岡芳年が描く晩年の小野小町「卒塔婆の月」や太宰治の宮沢賢治についてなど、日本の文化についての発見がたくさん。金子文子と朴烈の名前ここにも。 菅原道真の歌が印象に残った。「このたびは 幣もとりあえず たむけ山 紅葉の錦 神のまにまに」 「東風ふかば にほひおこせよ 梅花 あるじなしとて 春を忘るな」2022/10/01
Timothy
10
今年のマイベスト本(というのを決めているわけではないが)に入りそうな一冊。65の和歌に寄せた短いエッセイ集なのだが、この本が特別なのは、これが韓国の本の邦訳だということだ。著者は太宰や最果タヒを紹介する韓国の翻訳家。エッセイは日韓両国での思い出を切り取ったものから、和歌の内容、日本語や日本文学について説明するものもあり、読みながら翻訳本であることを忘れるというか、国境を意識しない個人的な語らいのような気がしてくる。時には翻訳家をしている友人との、時には日本文学の先生との。ちなみに恋の歌だけではない。2022/02/15
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