内容説明
強いものが勝つとは限らない。運も重要である――
世界的な分子系統学者が着目する「進化」の最重要トピックス。
文系と理系の枠を超えて「進化」を読み解く!
今世紀に入って、科学分野は比べものにならないほどの精度と分析能力で発展してきた。日進月歩に新知見が登場し、それらを結びつけた、深く広い「進化の歴史」が語られようとしている。それが本書である。
アリストテレスの「生命の階段」からはじまり、ダーウィンの『種の起源』が革命を起こした、進化にまつわる仮説の数々。
分子系統学の登場で新たな時代を迎えた“進化学の現在”までを、探求の道をともに歩んだ研究者たちとのエピソードを交え、生物学的な空間、大陸移動など地球科学的な時間軸の絡みあいのなかにつむぐ、38億年の壮大な「進化」のストーリー! カラー口絵添。
◎漂流する大陸と生物の進化
◎進化発生生物学「エボデボ」
◎エピジェネティックス ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hal
13
進化に関する様々なジャンルの研究のダイジェストが楽しめる一冊。是非手元に置いておきたい。もっとも不得意分野の話はかなり難しくて理解できたとは言えなかったかも。人間と一番近い親戚のチンパンジーは瞬間記憶能力があるとか。人間の自閉症スペクトラムの人の中にもそのような能力を持つ人がいる。自閉症のような障害や統合失調症の人は、どんな民族にも一定数いて、進化の中で淘汰されていない。それは、人類が生き抜く上で必要な人材だったからではないかという話は感動した。2021/01/22
スプリント
10
進化に関する研究を簡潔にまとめて編纂されています。 やや難解なところもあり完全に理解したわけではありませんが進化に潜む偶然と必然の神秘に触れることができました。2021/07/28
izumone
2
「万華鏡のような」という形容があるが,生物をめぐる人類の知見をきらめく切り口で満喫できる一冊。進化論の思想から,地球と生命の進化史,エボデボやDNAの構造と振る舞い,そして生物マンダラまで扱う内容は多彩。生物も,LUCA,3ドメイン,真核生物のスーパーグループから昆虫,哺乳類,ヒトまで,いろいろなレベルで「総登場」。自分として最も興味深かったのは,体重による種数の分布が恐竜類と鳥類・哺乳類とで異なるパターンを示すこと。グループ間の競争による進化の進化の歴史を跡づけるものらしい。今年読んだ科学本のベスト。2020/11/01