内容説明
2013年NHKの大河ドラマ「八重の桜」で初めて明らかになる八重の最初の夫・川崎尚之助の波乱の生涯!
はじめに
川崎家家系図と年表
序章 「逃げた男」から「一途の男」へ
第一章 出石藩
出石という土地柄
出石藩と仙石騒動
出石藩の幕末
出石の学問
第二章 出石藩川崎家
出石藩川崎家に至る経緯
川崎家の歴史
川崎家の幕末
第三章 蘭学修業
はじめに
蘭学の勃興と蛮社の獄
西洋砲術の台頭
尚之助の師匠・杉田成卿と大槻磐渓
大木忠益
第四章 会津藩
会津若松の成立
保科正之の統治
会津藩の改革
第五章 会津藩山本家と結婚
会津藩山本家
山本権八
山本覚馬
覚馬の帰郷と尚之助の招聘
山本八重
第六章 京都守護職
会津藩京都へ
尊攘の嵐と八・十八政変
禁門の変と大政奉還
京都の山本家
第七章 戊辰戦争
鳥羽伏見
撤退
負のスパイラル
戦争回避の途絶
第八章 会津戦争へ
破局のはじまり
奥羽越列藩同盟の結成と崩壊
新政府軍会津へ
第九章 会津城下の激戦
会津城下の攻防戦
会津市街戦
悲壮なる戦い
尚之助と八重、籠城す
籠城という名の戦い
尚之助と八重、最後の戦い
第十章 会津藩解体
会津藩降伏
ヤーヤー一揆
藩主たちの護送
八重と尚之助の別れ
第十一章 戦後の会津
八重たちの生活
遺体埋葬の格闘
蝦夷開拓と再興
第十二章 斗南
斗南という地域
松平家再興
川崎尚之助、斗南へ
第十三章 函館
函館という街
川崎尚之助、函館へ
疑獄
第十四章 八重、米沢から京都へ
八重、米沢へ
生きていた山本覚馬
京都、離縁、そして……
最終章 終焉
過酷な環境
死去、そして余波
生家の顕彰
あとがき
本書によせて 川崎修
解説 北垣宗治
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
42
再読。「八重の桜」が大河ドラマにならなかったら「戦に負けた途端、嫁と会津を捨てて逃げた男」という虚偽のレッテルを貼られたままだった。出石藩(現在の兵庫県豊岡市)出身の彼の生涯を追ったスピンオフを見たい。この本に書かれている全てが事実ではないかもしれないが、八重と会津の為に生涯を捧げたのは間違いない。会津の道徳観は素晴らしいが硬過ぎる。人はそんなに立派な生き物じゃない。結局いい様に幕府と新政府に利用された。他藩出身の尚之助の目にも歯痒く映ったはず。それでも会津の愚直な美意識を愛したのだな。何度でも読みたい。2016/05/12
Jiemon
4
幕末の動乱期に数奇な運命から出石、会津そして斗南へ流転して行った川崎庄之助の真面目過ぎる人生に改めて感じいることができた。また、歴史に埋もれてしまいそうだった彼の人生を、NHK大河をきっかけとしてよくぞ掘り起こしてくれたものだと感心した。相当な才知のある人物と見てとれるが、山本覚馬と会って会津へ渡った事が最終的には彼の命運を分けることになる。死に至って、会津に対する想いはどのような物だったであろう。会津人を怨まずに安らかな最後であった事を願わずにはいられない。2013/10/12
Y2K☮
4
川崎尚之助、いままで知らなくてスマンかった。作者の思い入れを差し引いても、後世に名を残すべき立派な男だ。元々会津の人間ではなく、まして研究者タイプの彼が藩の窮乏を救うために不慣れな商いに取り組んだのを、どうして誰も助けなかったのか。戊辰戦争の会津はあまりにも気の毒な末路を辿ったけど、尚之助や西郷頼母への仕打ちを考えると因果応報な気もしてくる。ともあれ「八重の桜」が今年の大河ドラマで本当によかった。今年の大河を見ている人全てに、自信を持ってこの名著をお勧めしたい。あさくら氏、書いてくれてありがとう。2013/04/04
九尾の猫又
3
出石の観光案内からこの本の存在を知り即購入!届いて4時間で251P読破しました。速読できない人間なのですが自身最短記録です。それほど、このあさくら氏の文章が明解かつテンポの良い構成になっています。なにより黙したまま歴史の闇に葬られていた川崎尚之助という人物の生き方に惹きつけられてしまいました。全てがあさくら氏の調査によるものではありませんが、野口信一氏他多くの会津幕末史家の調査結果によるものを見事のまとめ上げ、彼の人物像を見事に描き出しています。もうすこし別な資料がほしい方は会津人群像22号おお勧めします2013/06/23
Natsuki Tsukada
2
新島八重を知るほどに、彼女の最初の夫、川崎尚之介に心を奪われた。 尚之介の、会津や八重の実家山本家への一途な想いとは裏腹に、彼は何故、窮地に立たされたときに、会津からも山本家からも救済されなかったのか。尚之介の能力を乞い、会津の激動の渦に巻き込みながら、何故会津や山本覚馬は、彼を見棄てたのか。死して尚、まるで歴史から抹消されるかのように語られなかった彼の生涯や想いを知りたくて、一気に読んだ。近年やっと掘り起こされてきた尚之介の史実ながら、その量はまだまだ少なく、憶測の域を脱せられない事象は多い。2013/10/20