国道16号線スタディーズ - 二〇〇〇年代の郊外とロードサイドを読む

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国道16号線スタディーズ - 二〇〇〇年代の郊外とロードサイドを読む

  • 著者名:塚田修一/西田善行
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2021/12発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234353

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内容説明

ショッピングモールやチェーン店が立ち並ぶ「没個性的で均質的な空間」としてネガティブにイメージされがちな郊外だが、私たちは紋切り型で郊外を理解しているのではないか。

本書は、2000年代以降の郊外を国道というインフラとの関わりから考察する。具体的には、国道16号線――神奈川県横須賀市から千葉県富津市までの首都圏の郊外を環状に結ぶ、いわば郊外が濃縮された国道――を実際に車で走り、街を歩き、国道と土地の歴史の調査やトラックドライバーへのインタビューを積み重ね、現在の郊外とロードサイドのリアリティを描き出す。

同時に、16号線沿いの街を物語るテキストや表象――『ドキュメント72時間』『闇金ウシジマくん』『学校の近くの家』『木更津キャッツアイ』など――を読み解き、また鉄塔や霊園などのモノや空間にも目を向ける。それらの考察を通して、少子・高齢化や人口減少など、現代日本の郊外が抱える課題を明らかにし、郊外の現在を理解するための新しい視点を提示する。

目次

はじめに――本書のナビゲーション 塚田修一

第1章 「場所」と「非―場所」――二つのテレビ番組が映した道と街、そして人 丸山友美
 1 「国道十六号線」を映す二つのテレビ番組
 2 『72時間』――「移動」し続けるカメラに映る道
 3 『キンシオ』――物語にあふれた場所を探し歩く
 4 「非―場所」としての十六号線で語られる、私の“幸福論”
 5 物語の場所――二つのテレビ番組が映した十六号線

第2章 鉄塔がある風景――『闇金ウシジマくん』の郊外 近森高明
 1 鉄塔がある風景――相模原
 2 鉄塔の現象学
 3 巨大な環状ライン
 4 鉄塔へのマニアックな視線
 5 「鉄塔的なるもの」の在りか――所沢、川越、狭山
 6 『闇金ウシジマくん』の郊外

第3章 幹線移動者たち――国道十六号線上のトラックドライバーと文化 後藤美緒
 1 二つの案内標識
 2 職業としてのトラックドライバー
 3 十六号線の構造――トラックドライバーの運転知
 4 トラックドライバーの身体技法
 5 路上から浮かび上がる十六号線の風景
 6 十六号線を駆けるトラックの物語とは

第4章 「重ね描き」された国道十六号線――「十六号線的ではない」区間としての横須賀・横浜 塚田修一
 1 「街道」と「国道」の重ね描き
 2 「戦前」と「戦後」の重ね描き
 3 金沢八景の風景
 4 『昼顔』妻たちの街
 5 均質ではない郊外空間
 6 ここは十六号線なのか

コラム 相模原市緑区巡礼 松下優一

第5章 「軍都」から「商業集積地」へ――国道十六号線と相模原 塚田修一/後藤美緒/松下優一
 1 経済界での十六号線の発見と相模原
 2 軍都計画と戦後相模原
 3 埋没する基地/浮上する消費空間――一九九〇年代の十六号線沿線相模原をめぐって

コラム 「国境」としての国道十六号線――福生・基地の街のリアリティ 塚田修一

第6章 ジューロクゴーが片隅を走る世界で――青木淳悟『学校の近くの家』の狭山/入間 松下優一
 1 『学校の近くの家』の十六号線
 2 一善の世界
 3 “狭山らしさ”の探求
 4 記号化された世界、その空虚な中心としての入間基地
 5 「空都」の跡地で

第7章 不在の場所――春日部にみる「町」と「道」のつながり/つながらなさ 鈴木智之
 1 ゴースト・プレイス
 2 道が町を作る
 3 春日部――道が生み出した町
 4 町と道の接続/断絶
 5 人口減少のフロントラインとしての十六号線
 6 不在の場所

第8章 死者が住まう風景――国道十六号線ともう一つの郊外 佐幸信介
 1 墓じまいの話――ある家族のライフヒストリー
 2 十六号線沿いの霊園の風景
 3 郊外と霊園――自動車がつなぐ空間
 4 接合と切断する十六号線

コラム マツコ・デラックスと国道十六号線――犢橋で「十六号線的なるもの」を考える 塚田修一

第9章 国道十六号線/郊外の「果て」としての木更津――『木更津キャッツアイ』は何を描いたのか 西田善行
 1 国道十六号線間格差――千葉県南西部と十六号線の景観
 2 木更津と十六号線――駅前の発展と衰退、郊外化
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

takaC

75
過去に横浜、千葉、八千代に住んでた時に国道16号は多用してました。3度目の千葉市移住になった今現在も、庄和IC〜松ヶ丘IC間は愛用しています。20年くらい前に国道友だちのN島君と車1台で横須賀→富津をいっぺんにトレースしたこともあったな。その頃は今のR126がR16だったので穴川から千葉市道路元標経由で登戸に抜けたけど、今ならバイパス(京葉道路の側道)経由で浜野(R357交差点)だね。2018/09/01

Tadashi_N

28
軍や経済のために人工的に形成された道路だった。たしかに横浜横須賀間は異質。2019/12/30

Tui

25
「16号」の起点近くに住む者として読んでみた。首都圏を走水から富津までぐるりと囲む国道16号線の特色を抽出検証した本。たとえば16号に沿った軍施設との関連(横須賀、相模原、福生、入間)、たとえば家と墓(ニュータウンと没後)、たとえば送電線(16号の円環が、ほぼ首都圏送電網の横のバランサーと同一)、たとえばマツコ・デラックスの16号線愛(そりゃ東急田園都市線に毒舌にもなるわ)…。どれも社会学以外のどれにも当てはめようのない考察だなと。改めて社会学という学問の節操のなさを思い出したので、関連本を読んでみるか。2018/10/07

cape

19
つい最近、国道16号をバイクで走破した。16号の側近くで長く過ごしてきた身として、特別な想いがある。16号線的なるもの。拡大し、収縮する日本の縮図。鉄塔、軍施設、モール。横須賀から、狭山、春日部、八千代、木更津。社会学として16号にアプローチする考察はどれも非常に興味深く、そんな視線で見ていなかった、身近に素通りしていた読者の目を開かせる。16号の近くに住み、あるいは何かしらの愛着を持っている人には面白い。道がつなげるもの、つなげないものがあるが、16号線は間違いなく日本の近現代につながっている。2018/11/10

しゅん

11
神奈川・東京西部・埼玉・千葉をぐるっと囲む16号線を複数の観点から読み解く。執筆者も複数名いることから分かる通り論理的に一つの主張が説かれるわけではないが、それでも共有されている一つのムードがある。繋がっているのに孤立していること。16号線は車移動のために使われ、歩く道として使われることが少ない。それが人々のコミュニケーションを死産させる。生まれ得るものが生まれ得ないという切なさがこの道路にはつきまとう。同時に、周辺生活者にとっては意識されない道であるという指摘も忘れがたい。2018/12/10

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