弔い月の下にて

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  • 電子書籍

弔い月の下にて

  • 著者名:倉野憲比古
  • 価格 ¥1,584(本体¥1,440)
  • 行舟文化(2021/12発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784909735089

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内容説明

目羅博士でも真相は見抜けまい。
大乱歩が読んだら、どれだけ喜んだことだろう。
――春日武彦(精神科医)推薦!

心理学を専攻する大学院生の夷戸と彼の先輩の根津、ふたりの行きつけの喫茶店のマスターの美菜は三人で壱岐に旅行にやってきた。
根津の提案でボートを借り、かつて隠れキリシタンの島民が大量死したという曰くある島「弔月島(ちょうげつとう)」の見物に出かける三人。島にはキリシタンの末裔である富豪が築いた奇妙な館・淆亂館(ばべるかん)が残っていた。
上陸した三人は、「館の使用人」を名乗る獰猛な男たちに拉致され、館に軟禁される。そこにいたのは、有名な劇団のメンバーたちとゴシップ記者。淆亂館の主は、彼ら全員と因縁のある、十年前に失踪した「伝説の俳優」なのだと言うが……
謎の黒衣の男が跋扈し、次々と起こる謎めいた殺人。作者渾身のシリーズ第三作は、異常なロジックと奇矯なトリックが炸裂する傑作変格ミステリ!

◆<著者のことば>
 前作『墓地裏の家』の刊行から十年が経ってしまった。しかし『弔い月の下にて』には、謎の使用人、異常心理学、宗教、怪奇趣味etc.と、私の趣味嗜好のすべてを注力したと言っても過言ではない。本作は変格探偵小説なのか? はたまた異形の本格なのか? 読者諸賢の御判断に委ねたいと思う。

目次

プロロオグ 渚にて
一 暗鬱なる島へ
二 淆亂館の主人
三 消失と出現と
四 因辺留濃への道行
五 宴の精神病理学的考察
六 悪夢と悪魔
七 会議は踊る、されど進まず
八 了解操作が始まる、すべてが終わる
九 宗教的な、余りに宗教的な
エピロオグ 弔い月の下にて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちーたん

89
★★★☆☆「あの孤島曰く付きだしボートで近くまでいかね?」軽い気持ちで近付いた3人組は島にいた怪しい男達に捕まり島唯一の建物の館へ拉致される。館には既に軟禁された男女5名が!その5名には島に来た理由があり…◆初読み作家さん。実はこれシリーズ3作目。10年のブランクを経ての新作と読了後に知る。なるほど!プロローグの入り込む余地ない空気感はそのためか笑。薀蓄や専門用語など取っ付きにくい部分あるけど、やがてそれが伏線回収されてく様はグッド!でも如何せん話の持ってき方が不自然で気になって仕方ないwでも楽しめた!2022/03/01

yukaring

58
怪談が語り継がれる孤島、隠れキリシタンが建てた館に人間消失など宗教とオカルティックな雰囲気満載の物語。紅い月が昇る夜に惨劇があるという島にたまたま上陸してしまった夷戸と友人達。島に住む謎の兄弟に幽閉されたのは島で唯一の建物〈バベル館〉。同じく彼らに幽閉された役者やゴシップ記者達と館の主人に会おうとするが、現れたのは18年前に死んだはずの伊留満と後に残ったのは暖炉で顔を焼かれた死体。閉鎖環境で異常心理に導かれる人達の葛藤と次々と起こる惨劇。心理学に造形が深いという作者の手腕が存分に発揮された異形のミステリ。2023/01/27

雪紫

54
ある意味頭くらくらする。暖炉の遺体。キリシタンの島。亡き当主に狂わされた関係者の怨みと執着。桜の下の足跡なき殺人。そして歪まされた信仰と心理学。すべてが混ぜこぜされた「推理」というより「解釈」がぴったりとくる展開。・・・そして、矛盾とともに突きつけられる解釈よ。・・・ぞわっとする。果たして正しいのはどっち・・・いや、そう決めることに意味なんてあるの?2022/11/19

Nyah

50
不穏な伝承のある隠れキリシタンの弔月島へ船で渡った夷戸と根津、美菜。島に着くなりお仕着せを着た二人組に船を壊され携帯を海に流される。淆亂館(ばべるかん)へ連行された三人の前に、ゴシップ誌の二人、有名劇団の三人も同様に連行されたと。怪しい黒衣の男、お仕着せの二人が主人と仰ぐ人物。そして次々と人が死ぬ。春日武彦(精神科医)推薦の書。夷戸の心理学の説明がちょっと長口舌だが、おどろおどろしくて楽しい。😏2023/02/19

koma-inu

40
何とも、印象的な作品。孤島を見物に来た三人、失踪した俳優を追ってきた訪問者達が、クローズドサークル内の館で謎めいた殺人に巻き込まれる。幻想、宗教、ホラー、心理学が混じった、独特の世界観がたまりません。顔の無い死体、足跡のない殺人と、ミステリ要素もモチロンありますが、さすが倉野さん・・!と言うべき、狂気的なトリック。ラストはSFの如き再逆転?で、無力を呟く主人公が、読者の代弁のようでした。10年ぶりの新作でしたが、次作は早く出ないかな〜と望んでます。2022/09/23

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