情報の哲学のために - データから情報倫理まで

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情報の哲学のために - データから情報倫理まで

  • ISBN:9784326154777

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内容説明

「情報=コンピュータで処理するデータ」ではない。AI、データ駆動、知識集約、デジタル社会などの新たなことばが飛び交うなか、数学・意味論・物理学・生物学・経済学にまたがる多様な情報概念に基づき、あらゆる存在をとらえなおす。変わりゆく情報圏にいきるわたしたちに欠かせない、新たな哲学・倫理観を築くための見取り図。

目次

謝 辞
図一覧
表一覧

はじめに

第1章 情報革命
 情報社会の出現
 ゼタバイトの時代
 第四の革命
 情報圏(インフォスフィア)での生活

第2章 情報のことば
 データにもとづく情報の定義
 データについて理解する
 アナログとデジタルのデータ
 バイナリデータ
 データまたは情報の種類
 一次データ
 二次データ
 メタデータ
 運用データ
 派生データ
 環境的情報
 意味論的内容としての情報

第3章 数学的な情報
 通信の数学的理論
 冗長性とノイズ
 通信の数学的理論が示唆すること
 エントロピーと乱雑さ

第4章 意味論的な情報
 事実的な意味論的情報
 情報の有益さに関する分析
 演繹のスキャンダル
 バー=ヒレルとカルナップのパラドクス

第5章 物理学的な情報
 マクスウェルの悪魔
 量子情報
 情報から現実がうまれる

第6章 生物学的な情報
 遺伝学的な情報
 神経科学的な情報

第7章 経済学的な情報
 完備情報
 情報の非対称性
 完全情報
 ベイジアン(ベイズ主義にもとづく)情報

第8章 情報の倫理学
 新たな環境的倫理としての情報倫理
 「資源としての情報」倫理
 「所産としての情報」倫理
 「対象としての情報」倫理
 情報倫理に対するミクロ倫理学的な接近法の限界
 マクロ倫理学としての情報倫理

エピローグ 自然(ピュシス)と技術(テクネ)の融合

〈解説に代えて〉
情報圏の構築に向けた複数のアプローチ――フロリディの情報論とネオ・サイバネティクス[河島茂生]

参照文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Haruki

6
原著2010年の情報概念の入門紹介の書である。第四の革命として全ての基本を情報(解釈余地のあるデータの差異)と捉え、それに関わるエージェント(人間、生物、人工知能、非生物も含む)による相互作用で構成される情報圏を根本概念に据える。情報概念の見取り図を基に、数学的、物理学的、意味論的、生物学的、経済学的、また倫理的な観点で多様な情報の切り口を紹介。指令的と意味論の違い、知識(真)とデータの違いと解釈、情報への責任(送信/受信側)→情報倫理と存在中心主義(実体の尊厳)と射程広い。ただし紹介のみで理解は難しい。2024/01/07

mim42

4
想像していたよりも情報量が乏しかった。その割に読みづらい。機械翻訳風の日本語、無駄に抽象的で専門用語風の語彙。学術書の体で書かれたサイエンス書。邦題と原題の乖離も酷い。金払って読むほどでは無かった。2021/09/16

愛楊

3
本書は、2010年出版の「Information: A Very Short Introduction」の邦訳として、2022年に出版された。本書の眼目は、訳者による「解説に代えて」になるだろう。そこではサイバネティックスと本書の情報論が比較されることになるが、2022年にもなって言語モデルへの理解が甘かったりと、図書館情報学の人は象牙の塔であるようだ。ここに人文学的情報学の悪さが詰まっている。2024/07/15

iwtn_

3
ネットで見て気になって、本屋で目次を見て各分野での情報に関して網羅的に取り扱ってそうという感じだったので購入。個人的には復習的な内容かな?と思っていたが、その予想は一部しか当たっていなかった。情報についての大きな地図を、データから知識まで、意図的、真偽、指令的・事実的、環境的・意味論的というように描いた上で、各分野についてまとめているのは大変良かった。ただ、最終的には情報倫理に行き着き、全てを情報的なオブジェクトとして取り扱う段に至っては、理解に苦しんだ。地図はまた参照する。情報倫理は要復習。2021/08/09

逆丸カツハ

2
前に読んだ情報の哲学の本は専門外の人の書いた本だったので、それよりもずいぶんと面白かった。ちゃんと情報に定義を与えようという試みがあり、各分野における情報に関するトピックがまとめられていて、復習の部分も多々あったが勉強になった。しかし、この本での情報の定義はあまり洗練されておらず、きれいなものではないような気がする。自分でも色々と考えていてそれは正しいと思っているけど、少なくとも著者よりは断然少ない知識で考えたあまり真っ当なものでないかもしれないから、なんともいえない。2021/10/12

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