内容説明
大人と子供の領域を往還する少年。そのどこか醒めた目は何を見つめるのか。教科書で読み継がれた「童謡」、父とその連れの美女に伴われ伊豆大島へ赴く「夏の休暇」、二人の少年の間の危うい均衡を描く表題作など、思春期の波立つ心と体を澄んだ筆致でとらえた十篇。新たに随筆「子供の時間」他一篇を付す。〈巻末エッセイ〉安岡章太郎・吉行和子
【目次】
夏の休暇/暗い半分/梅雨の頃/斜面の少年/悪い夏/崖下の家/童謡/子供の領分/窓の中/春の声
〈随筆〉子供の時間/私と教科書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
61
私にとっては特別な作家だが、復刊されることも少なくなってしまった吉行淳之介。喜んで手に取る。少年期の父親との複雑な関係、女性との距離感、感じる痛みや諦念など、子どもの視点ではないような気もするが、こういうころは男の子なら一度は経験するものなのだろうか。題材から誤解が多いように思うが、ナイーブな作家だったという思いを改めて強く持った。2021/11/19
naotan
10
今の時代だったら信じられないだろうけど、家の塀を上る冒険ごっこのような遊びは私もやった。子供には子供の世界があることを思い出させてくれる。2023/01/29
T. Tokunaga
1
ええと、嫌いというわけでは決してない。しかし、なんだか退屈してきてしまうのは事実である。一度、短編の当たりパターンを思いついたからといって、そのトーンにはまり込んでいってはいけないのだ。2023/06/19
maghrib
1
著者の子供の頃の記憶をモチーフにした短編集。表題の子供の領分がよかった。斜面の少年、ストーリーとの関係の軽重様々な逸話が描かれるが、確かに小さな頃の記憶はそういうところがある。2022/08/10
スターリーナイト
1
2022-282022/04/10