中公文庫<br> ストロベリー・フィールズ

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中公文庫
ストロベリー・フィールズ

  • 著者名:小池真理子【著】
  • 価格 ¥900(本体¥819)
  • 中央公論新社(2021/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122056138

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内容説明

「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」
 出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。
 ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。
 〈解説〉稲葉真弓

〔著者のことば〕
 誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。
 とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。
 その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。
 (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

52
面白かったです。母と息子ほど年の離れた2人が惹かれ合う。ドロドロの内容なのに、小池さんの文章になると美しく描かれるのが不思議です。他の作品も読んでみたくなりました。2023/05/26

きょん

34
素敵なタイトルだと思ったら、ストロベリー・フィールドという孤児院の名前で、ジョン・レノンが曲を作るきっかけにもなったそう。息子ほど歳の離れた旬に翻弄される夏子の戸惑いと好意を持ってしまう気持ちが細やかな描写で綴られる。夫や義娘に対する思いなどはドロドロなのに、情緒豊かで美しい文章は小池作品ならでは。2020/04/16

翔ちゃん

26
自立した仕事を持ち、家事もこなし、母親業もして…弱音がなかなか見せれず、感情で生きる女性は本当にしんどいもの。なんだろう…日々感じてる心のツッカエに、ある日突然吹いてくる風。それが恋なのか、ごっこなのか。でもやはり家庭に戻っていく主人公なのかな…。お話の終わりはそんな気がしました。小池さんの恋愛小説は、以前も読んだことがあるのですが、女性の気持ちをとてもストレートに表現されているところに共感出来ます。2014/05/14

ぐうぐう

25
とても周到な小説だ。出版社社長・智之の後妻となった女医の夏子。亡くなった先妻との娘であるりえと裕福で仲睦まじい家庭を築いているかに見えて、夏子は孤独に苛まれている。鎌倉の古い自宅のいたるところに先妻の気配を感じ、智之とりえ親子の強い結び付きに、夏子は疎外感を覚えてしまう。そこに追い討ちをかけるかのように、夫・智之と秘書・葉月との不倫現場を目撃する。そんな頃、りえの友人・愛の兄・旬が夏子の前に現れる。(つづく)2016/10/07

佐島楓

25
家族の崩壊を描きながら、同時に家族の構築そのものも描いている。血のつながりなど、そういったものだけではない家族のあり方もある。小池さんの恋愛小説には珍しく性描写があまりないのが好みだったし、それがラストシーンの説得力を増す味付けとなっている。ただ、何とはなしにもの悲しさが残るのは、生きることを描いているからだろうか。2013/12/13

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