内容説明
黒木あるじの最新・怪談実話!
ひとつの怪談を二人の怪談作家が綴る、初の試み!
同時発売『怪談奇聞 憑キ纏イ』(小田イ輔 著)にも収録
作家・黒木あるじが最新最恐の怪談を綴る人気実話シリーズ〈黒木魔奇録〉待望の第3弾!
・コロナ禍で顕在化した怪異を纏めた連作「禍異談」
・苛烈ないじめやブラック労働に耐えた女性が人生の岐路で対峙する不気味な存在「地獄おばさん」
・K-POPアイドルを志し韓国に渡った女性が直面した戦慄の儀式「分身娑婆」
・バリ島で禁忌に触れた女性を見舞った悍ましい災厄「魔女島」
そのほか、作家・小田イ輔に誘われ同時取材を敢行した「今日からあれが」「あの日のひとだま」、後日談「昨日のあれは」収録。
蒐集した恐怖を出し惜しみなく綴った実話怪談の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
244
黒木あるじさんの作品集を読むのは久し振りなのですが本当にいつ読んでも新鮮な驚きがあっていいですね。大ベテランですし毎回似たような話になっても良さそうなのに、こんなにも凝ったドラマチックなネタが書けるなんて凄いなあとマジで感心しますね。同時発売となる小田イ輔さんとの共同取材の企画による3編を比較しますと小田さんが総頁数21で黒木さんは17でした。私はこの4頁の差に著者のコンパクトに纏める才能を感じましたね。ちなみに黒木さんの後日譚では「ささきさんでしょ」と声を聞き後で母の旧姓が佐々木だと気づいたとの事です。2022/04/07
HANA
65
実話怪談集。著者が著者だけに安心して読める読める作品が揃っている。こういうのを読むとダイレクトに幽霊や怪異を出してくる怪談が如何に稚拙かわかるなあ。直接的な恐怖よりかそけさや座りの悪さみたいなのが、怪談の真骨頂というのがわかる。あと著者、ギミックの使い方が本当に上手いのに読んでいて気付かされた。例えば「天女」の画とか「不見」の写真とか、結局それに纏わるものは何も語られずそれが存在したというだけなのに、酷く不安で怖い。不穏さと不気味さが同居したような作品ばかりで、実話怪談好きは必読の一冊だと思います。2021/12/01
奈良 楓
17
【とても良かった】久しぶり買ってよかったと思えた竹書房の怪談本。著者らしい妖のものがでてくる「さかしら」と「あたらしいともだち」が特に印象に残りました。2021/11/30
qoop
14
手練れの著者だけに高品質が保証されたような一冊。掌編と呼ぶにも短い話を巧みにまとめる術であったり、反対にそれだけでも成立しそうな話をあえて何本かまとめることで充実感を足したりと、巧みさが際立つ構成。そうした内では特にコロナ禍の怪異〈禍異談〉に惹かれた。他には現実を歪ませる〈わたしのモナリザ〉、意外性があるとともに綺麗にまとまっていて感心した〈最恐スポット〉〈なばかり〉など、印象的な作品をあげたらキリがない。2022/01/05
澤水月
13
建物を「スケルトン」にする現場、動物の死骸で商売する男…語られる話の舞台がまず異質で面白い。かと思えばワクチン接種会場にも異界との裂け目が…もう本当に全話面白い。方言の効果的な使い方、今回は外国での話もあり。毎回楽しみな「取材こぼれメモ続け書き」に当たる章が今回も冴えている。小田イ輔と共作作の趣向も、二人の書き手としてやプライベートな佇まいの違いが見え興趣深い2021/12/24