内容説明
不思議な郷に迷い込んだ俺。
ココは変だ、住民は変だ、俺もなんか変だ。
やがて俺は力を得て夜半獣と呼ばれるのだった。
血と暴力と愛の郷
上槇ノ原へようこそ!
気付けば無人の車両に乗っていて、わけもわからず上槇ノ原へとたどり着いた省悟。
癖のあるどこか愛くるしい住民達と共に生活をするうち、省悟は郷にとってなくてはならない存在となった。
ある日、省悟は上槇ノ原と下槇ノ原の抗争に巻き込まれてしまう。
古より続く上下抗争だった。
そんななか省悟は「夜半獣」として圧倒的な力を得ると共に、村民から敬われる存在となり……。
夢か現か、異世界での戦争が始まった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
186
花村 萬月は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。本書は、著者の見た夢を小説化したアマゾネス幻想譚でした。こんな夢なら覚めないで欲しいと願うんでしょうね。著者が執筆中の姉妹作も読む予定です。 https://www.tokuma.jp/book/b595481.html 【読メエロ部】2021/12/20
nana
62
ものすごくぶっとんだお話だったけど、私には合わなかった。覚めないででほしい夢があることには共感できる。2022/05/01
rosetta
25
★★★★✮なにこれ!ハチャメチャに面白い!今で見たことの無い花村萬月!夢をそのまま小説にしたというのだが躁病っぽい軽薄な主人公の漫才のような饒舌文体が470頁もあるのにペラペラと頁を捲らせる。中身はマジックリアリズムと吉里吉里人と同時代ゲーム。中央特快に乗ったつもりで着いた槇ノ原は上下に別れ応仁の乱の頃から戦している。上は異能の所長に率いられ大麻栽培や地熱発電等で独立した理想の国を作っていた。女性ばかりのこの村で主人公は客人として子作りを期待されていた。性描写や暴力シーンも多いけど抜群に楽しい読書だった2022/03/12
田氏
22
明晰夢のトレーニングを積んだ著者が、夢を土台に書いたという小説。とはいえ夢という字からイメージされるほど混沌とはしておらず、それなりに現実(正確に言えば、おそらく著者の社会観、政治観)を写したものになっている。雑に言ってしまえば、構図としては一種の異世界転生・俺Tueeeモノであり、それを芥川賞作家が書くとこうなる的な。だから、音声言語に寄ったという文体も相まって、心地よいほどにエンタメ。しかし圧倒的に歪で真っ直ぐな、なんらかの構造を描いてもいる。話変わりますが私、吉村萬壱と間違えて本書を手にとりまして。2022/01/21
コリディ
10
5点。エロ・グロ・ナンセンスなダークファンタジー。萬月さんはまだ数冊しか読んでないが、前読んだのは、エロ・グロ・ナンセンスなハードボイルドで、もっと面白かった。芥川賞獲っているが、その時の選考委員は、今の萬月さんをどう思っているのでしょう。2023/04/16