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内容説明
台湾が日本統治下にあった1924年、台南の裕福な商家に生まれた著者が、少年~青年期の成長の軌跡と重ねながら、近代化途上にあった台湾社会の諸相を活写した貴重な記録文学。
封建制が色濃く残る生家への反発、熱誠溢れる日本人教師との交流、戦後台湾へやってきた中国国民党政府への違和感――日本統治時代と戦後の混乱期をいきいきとした筆致で回想する。
やがて青年は、軍事独裁を敷く国民党政府に兄を殺されたのち日本へ亡命し、学業を再開。台湾語研究の第一人者となり、また台湾民主化を求める「台湾独立運動の父」となった。
台湾と日本を愛し、波乱万丈の人生を駆け抜けた志士の青春録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takeshi N
2
台湾について知らないことが多すぎた。日本統治時代の台湾、日本敗戦後国民党の支配と横暴、そしてニニ八事件。台湾人のアイデンティティを理解し、いまの台湾を考えるには必要な情報だと思う。生前、地元では危険分子扱いされていたが、死後台南に公的な王育徳紀念館ができたという。旅行できるようになったらぜひ行きたい。2021/12/18
円
1
前半の幼少期の風景も興味深かったが、戦中、戦後の描写は一気読みしてしまった。戦後の日本人恩師からの謝罪についての述懐が印象的。台湾が親日とか、本当に無知で浅い考えだな、とつくづく思う。言葉とナショナリズムは不可分なのだなとも思わせる。2022/01/30